2019年08月06日 11:55
総務省消防庁の「救急業務のあり方に関する検討会」は5日、2019年度に集中審議する項目の協議を開始した。外国人疾病者の救急対応について、日本国内で開催される大規模な国際イベントを通じたモデルケースの整理や海外での対応事例の収集・分析に注力する。【吉木ちひろ】
19年度は6月に開催されたG20大阪サミットや、9月から開催されるラグビーワールドカップなど、国内で複数の大規模で国際的なイベントが開かれる。消防庁ではこれらを通して、救急現場の実際の課題や対応の好事例を収集・整理する。
これまで同検討会では、外国人患者とのコミュニケーション上の課題などが指摘されてきた。消防庁はこれに応じて、多言語音声翻訳アプリや電話による三者間同時通訳の開発・普及促進、訪日外国人向けの救急車利用ガイドの作成を通じて多言語対応などを進めてきたが、モデルケースの整理については対応が遅れており、検討会の下に設置する連絡会で集中して事例の把握や課題の整理を行う。連絡会は10月と20年1月の2回の開催を予定している。
長島公之委員(日本医師会常任理事)や横田順一朗委員(堺市立病院機構副理事長)は、通訳ができる人材の少なさや情報システム構築の観点から、協議の際には医療現場との連携を念頭に入れる必要性を指摘した。
このほか19年度の同検討会では、メディカルコントロール体制のあり方、救急安心センター事業(♯7119)の事業検証体制、緊急度判定の実施・検証などについて協議し、3月までに報告書をまとめる。