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医療・介護ニュース

外来機能報告の義務化、遅くとも22年度初めから-一般病床・療養病床のある医療機関が対象

2020年12月03日 21:45

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 厚生労働省の「医療計画の見直し等に関する検討会」は3日、一般病床や療養病床を有する病院・有床診療所に対して外来機能の報告を義務付ける制度などを盛り込んだ報告書案をおおむね了承した。この新たな仕組みは、医療法の改正を経て、遅くとも2022年度の初めまでにスタートする見通し。【松村秀士】

 報告書案は、外来機能の明確化・連携や「かかりつけ医」機能の強化などに関する同検討会での議論をまとめたもの。

 それによると、新たな制度では、各医療機関が都道府県に対し、外来機能のうち、「医療資源を重点的に活用する外来」(仮称)に関する医療機能の報告(外来機能報告)を行うことになる。これによって、どの医療機関で、「医療資源を重点的に活用する外来」(仮称)がどの程度実施されているかを地域ごとに明確化。データに基づいた議論により、地域ごとの外来機能の明確化や連携を促す。

 「医療資源を重点的に活用する外来」(仮称)として想定されるのは、▽医療資源を重点的に活用する入院の前後の外来▽高額等の医療機器・設備を必要とする外来▽特定の領域に特化した機能を有する外来。ただ、その具体的な内容や正式な呼称については、地域医療の担い手も含めた専門的な検討の場で今後検討する。

■報告しなければ是正命令

 外来機能報告の義務付け対象となる医療機関は、現行の病床機能報告制度と同様、一般病床、または療養病床を有する病院や有床診療所で、無床診療所は任意で報告することが可能。

 報告に当たっては、レセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)を活用し、国が各医療機関に対し、当該医療機関の「医療資源を重点的に活用する外来」(仮称)に関する実施状況のデータを提供。各医療機関はデータを確認した上で、その実施状況を都道府県に報告する。

 対象の病院や有床診療所が外来機能を報告しなかったり、虚偽の報告を行ったりした場合、都道府県知事は報告徴収や報告内容の是正の命令を行い、それらに医療機関が従わなければ、その旨を公表することができる。

 外来機能の明確化を巡っては、政府の全世代型社会保障検討会議が19年12月にまとめた中間報告で、「遅くとも22年度初までに改革を実施できるよう」にすると明記した。

 厚労省の担当者は3日の検討会の後、この方針にのっとって外来機能報告の新たな制度がスタートすると説明した。

出典:医療介護CBニュース