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- 顔色:美容(vol.4)
薬の副作用などで貧血が起こり、顔色が悪くなる場合があります。また、薬の種類によっては色素が沈着して顔のシミが増えることもありますし、病気が進むと黄疸が出ることもあります。その変化は、何よりつらい副作用と捉える方が多いのです。メイクによってそれらの外見的な変化を軽減できれば、どうでしょうか?
メイクをするだけでも気持ちがシャンとするものです。治療中はニオイに過敏になるので、ニオイの少ない化粧品を使うメイクを当院婦人科では勧めています。患者さんのためにも、患者さんを周りで支える人のためにも、前向きに日々を過ごす手助けになるはずです。
病気になっても、家族や友人と食事や旅行を楽しみ、豊かな趣味を持ち、明るく生活を楽しむ…それを助けるための方法のひとつがメイクです。顔と心と体はつながっています。自分の顔にコンプレックスや悩みがあれば、気持ちは落ち込み、外へ出るのが嫌になることも。世の中には「たかがメイク」と思っている人もいるかもしれません。でも、メイクには人を元気にする力があります。メイクによって明るく前向きに過ごすことができれば、周囲の人をも元気にすることができると思っています。
主な症状
血色が悪くなる
抗がん剤の副作用や病状によって貧血が起こり、顔色が悪くなる場合があります。
チークやピンクのリップクリームなどを付けると元気に見えます。
皮膚が黒ずむ
5-FUや、S-1(テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム)に代表されるフッ化ピリミジン製剤は、色素が沈着しやすい薬で、顔にそばかすのようなシミが増えることがあります。悪化しないように日焼け止めを塗ることをお勧めします。
室内でも日焼けはしますので、外出する時だけでなく、室内にいる時も日焼け止めを塗ることをお勧めします。
タキサン系の抗がん剤では手足の先のほうの末梢が黒ずむことが多く、ドセタキセルやパクリタキセルでは爪が黒くなることがあります。
皮膚が黄色くなる
がんの発生部位や進行、肝機能の低下により、肌が黄色くなる黄疸(おうだん)が出ることがあります。
ファンデーションでカバーすることができます。
肌が荒れる
吐き気により食欲が衰えたり、全身状態の悪化によって食事が摂れなくなって栄養状態が悪くなるため、肌荒れが起こりやすくなります。また、抗がん剤や放射線療法などによって、がん細胞だけでなく正常な組織もダメージを受け、肌が荒れることがあります。
今使用している化粧品で肌に刺激を感じる場合は、刺激の少ない敏感肌用や低刺激の化粧品に切り替えると使いやすいでしょう。
宇津木先生からのアドバイス!
化粧品の選び方と日焼け止めの塗り方
抗がん剤治療中の化粧品の選び方
ポイント① これまでの化粧品で肌に刺激を感じますか?
抗がん剤治療中は、肌が敏感になったり、薬によっては湿疹や乾燥、黒ずみ、シミが出ることがあります。しかし、化粧品の成分ががんに悪影響を及ぼすことはないので、今使っている化粧品を買い替える必要はありません。
もし、化粧品がしみたり、肌が赤くなったり刺激を感じる場合は、敏感肌用や低刺激の化粧品に切り替えると良いでしょう。
ポイント② 肌に湿疹などの症状が出ていますか?
湿疹が出ている時は、医療従事者に相談してください。
化粧品についても、相談すると良いでしょう。
ポイント③ ニオイに敏感になっていませんか?
抗がん剤の治療中はニオイに敏感になります。ニオイの少ない化粧品を選びましょう。
抗がん剤治療中の日焼け止めの選び方
ポイント① どんなタイプが好きですか?
ジェルタイプ、乳液タイプ、クリームタイプなどがあり、その中でもベタつかないサラサラタイプや、しっとりする保湿タイプなど様々な日焼け止めがあります。毎日使うものなので、好きな使用感のものを選びましょう。
ポイント② 紫外線防御効果はどれくらいですか?
紫外線防御効果は、
SPFとPAで表示されます
SPF=紫外線B波(肌が赤くなる原因)の防御
0~50までの数値で表し、数値が高いほど防御力が高い
PA=紫外線A波(シミやしわの原因)の防御
+~++++までの数値で表し、+の数が多いほど防御力が高い
日常生活では、SPF20以上、PA++以上を選ぶと紫外線を防御することができます。山登り、海、プールなどに行く時や、紫外線をたくさん浴びる時期、季節、副作用で日光に過敏になっている場合は、SPFとPAはなるべく高いものを選ぶと良いでしょう。SPFとPAの値が高いほど肌への刺激が強いというわけではないので、使用するシーンに合ったものを選びましょう。
日焼け止めの塗り方
ポイント① どれくらいの量を塗っていますか?
一般的に、日焼け止めを塗る量は少なすぎると言われています。日焼け止めに記載されている「使用量の目安」を参考にして、塗る量を守りましょう。
クリームやジェルタイプ
「適量」を塗ると書かれている場合、人差し指1本分の量が顔から首にかけて塗る量の目安になります(約1.5g)。
からだに塗る時は、からだを10個のパーツに分けて考え、1つのパーツに指2本分の量を塗るのが目安になります。
乳液タイプ
顔は手のひらに1円玉が2枚分、首は10円玉が1枚分の大きさが適量です。
一度に塗ると白浮きすることがあるので、2回に分けて塗ると良いでしょう。
からだに塗る時は、イラストのように、容器から体に直接、線状に出します。
手のひら全体を使って、大きな円を描くように広げながら伸ばします。
ポイント② どのくらい塗り直していますか?
汗をかいたり、服やハンカチでこすれてしまうと日焼け止めは簡単に取れてしまいます。SPFやPAの値が高くても取れやすさは同じで、2~3時間おきに塗り直すことが理想です。
日焼け止めの上からメイクをしている場合、日焼け止め効果の入ったパウダーファンデーションを2~3時間おきに上からつけると、紫外線防御効果を上げることができます。
かづき先生からのアドバイス!
元気な顔になるマッサージ&メイク術
血流マッサージ
血流マッサージとは、顔に滞った血液や老廃物を心臓に戻すことで、むくみや血色の悪さによる肌のくすみなどを改善させるもの。1回わずか30秒、血流に沿って顔を上から下へマッサージします。
主な効果
- ●肌のくすみが改善され、透明感がアップ
- ●顔のむくみやたるみが改善
- ●目の下のクマが薄くなる
【準備するもの】
スポンジ
マッサージは手で行なっても問題ありませんが、細部に均一に力を与えるため、適度な厚みと弾力のあるスポンジがおすすめです。
美容液
すべりを良くするため、ベタつかないさらりとしたものがおすすめ。普段お使いのものでも大丈夫です。
【マッサージを始める前に】
- ①. スポンジに水を含ませて、固くしぼります。さらにティッシュペーパーなどで余分な水分を抑えましょう。
- ②. 手のひらに美容液を適量出し、スポンジに含ませます。
【マッサージの手順】
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①. 目の下の皮膚がたるまないように、スポンジを持っていない方の手で、こめかみを引き上げ、目尻の下にスポンジを当てます。
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②. 目尻の下から目の周りを1周し、耳の下まですべらせます。目の周りの皮膚は薄いので、やさしく行いましょう。
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③. 次に、耳の下からあご先まで一気にすべらせます。さらに効果をアップさせるために、耳の下から首筋に沿って下にすべらせます。どちらも気持ちの良い力で、数回行いましょう。
④. ①~③を顔の反対側も同様に行いましょう。
肌づくり:ファンデーション
ポイントは、イエロー系を使うこと。肌に透明感を与え、顔色をトーンアップさせます。また、ファンデーションの特長として、肌色を整え、紫外線などの外部刺激から肌を守る効果もあります。
主な効果
- ●肌に透明感をプラスする
- ●シミ、そばかすを目立たなくする
- ●くすみを解消し、顔色をよく見せる
- ●紫外線から肌を守る
【準備するもの】
- イエロー系の下地
- ファンデーション
- フェイスパウダー
- カバー力の高いファンデーション
- スポンジ
- パフ
【メイクの方法】
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①.下地を手のひらに適量出し、上から下に顔全体に均一に伸ばします。
日焼け防止に、首や手にも伸ばすと良いでしょう。 -
②. 普段お使いのファンデーションをスポンジなどで伸ばします。
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③. フェイスパウダーをパフに取り、しっかりと混ぜてから、下から上におさえるようにはたきます。
フェイスパウダーは肌をサラサラにし、くずれにくく、キメのある肌に整えます。ワンポイント:シミ、そばかすなどが気になる時
カバー力の高いファンデーションを軽く水で湿らしたスポンジに取り、手のひらでよく混ぜたら、気になる部分にポンポンと軽くのせることで、カバーすることができます。その後にフェイスパウダーを軽くはたきます。
ポイントメイク
肌づくりで若々しくなったら、その肌にふさわしいイキイキとした表情を演出します。
主な効果
- ●左右対称の眉は、やさしい印象に
- ●目力をアップすることで元気な印象に
- ●口紅は輪郭をはっきりとさせ、若々しい口もとに
【準備するもの】
- 眉用ペンシル
- 明るい茶色のアイシャドー(マット系)
- 黒のアイライン
- まつ毛を上げるビューラー
- 黒のマスカラ
- (つけまつ毛)
- 口紅
【ポイントメイクの手順】
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眉
- ①. 黒目の外側の延長線上に眉山をつくり、そこから眉尻まで短い直線を重ねるようにしながら描きます。眉尻は眉頭より下にならないように気をつけましょう。
- ②. 眉頭と眉山の真ん中あたり(眉中)から眉山までは、鉛筆を寝かせて、塗りこむように描いていきます。
- ③. 眉中から眉頭に向かって、自然なグラデーションになるように、力を抜いて描きましょう。
- ④. 眉を描き終えた上から、マット系の明るめな茶色のシャドーを軽くのせると自然な仕上がりになります。
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アイメイク
- ①. 黒のペンシルを使い、目の下側1/3から上側2/3まで目のキワに一気に入れます。
- ②. まつ毛をビューラーで上に上げます。
- ③. 黒のマスカラでさらに目元をはっきりさせます。
ワンポイント:まつ毛が抜けてしまった時は
つけまつ毛を使うことで、補うことができます。つけまつ毛はそのまま使用せず、半分くらいの大きさにカットし、毛量を整えてから目尻部分につけることで、自然に仕上げられます。
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リップ
①. 血色をよく見せるために、ピンクや赤系の口紅をのせることで、元気な印象に仕上げます。