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- 下痢:ケア・食事(vol.6)
下痢が起こると腹痛や頻回にトイレに行かなければならないなど患者さんの生活に影響を及ぼします。特に、抗がん剤治療の副作用として起こる下痢への対応は薬物療法だけでなく、セルフケアなども必要になります。患者さん自身ができるケアだけでなく、下痢が発症した際の食事について解説します。
がん化学療法看護認定看護師
皮膚・排泄ケア認定看護師
室長
独立行政法人 労働者健康安全機構 関西労災病院
写真左より
日常生活の工夫
我慢せずにトイレに行きましょう
便意をもよおしたら、抗がん剤の投与中でも我慢せずにトイレに行きましょう。抗がん剤の作用で腸管が活発に動いている状態は、抗がん剤投与後24時間程度持続することがあります。
一方、抗がん剤投与後数日たってから起こる下痢には、あらかじめ下痢止め(止瀉薬)が処方されることがあります。服用するタイミングを医療従事者に確認しておきましょう。
外出のとき、下痢に不安を感じる方は、ナプキンやパッド、介護用下着などを使用する方法もあります。
安静にしましょう
背中を丸めて横になるなど、自分が楽だと感じる姿勢で安静にしましょう。
お腹を温めると、症状が軽くなることがあります。腹巻きなどを使用して腹部が冷えないようにしましょう。使い捨てのカイロを使用される場合は、低温やけどに注意しましょう。
水分をとりましょう
便とともに水分も排出されているので、脱水症状を起こさないように水分をとるよう心掛けましょう。
胃腸に負担をかけないよう常温で、1回に一口か二口くらいの少量をこまめにとります。
水や白湯でも十分ですが、経口補水液などでも良いでしょう。
洗いすぎに注意しましょう
下痢が続くと、お尻や肛門を綺麗にしようと気になる方が多いと思います。
ゴシゴシ拭いたり、石鹸で何度も洗ったりすると皮膚への刺激になりますので注意しましょう。
洗うのは弱酸性など肌に優しい石鹸で1日1回程度、それ以外はお湯に浸したガーゼなどで優しく拭くくらいが良いです。
温水洗浄便座を使用する場合は、低温で水圧は弱くしましょう。使用後は、押さえ拭きをしましょう。
保護しましょう
下痢の初期症状がひどくなると、拭いたり洗ったりする回数が増えるため、肛門やお尻がヒリヒリしたり発赤ができます。悪化するとびらん、潰瘍になることもあります。
皮膚が弱くなると排泄物も刺激になるため、排泄物が皮膚につかないように撥水クリームなどで保護ができます。ケアの方法など気になることや分からないことは、看護師に相談してください。