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日常生活のアドバイス

下痢
下痢に悩む患者さんの苦痛を和らげるケア&食事
食事ケア

下痢が起こると腹痛や頻回にトイレに行かなければならないなど患者さんの生活に影響を及ぼします。特に、抗がん剤治療の副作用として起こる下痢への対応は薬物療法だけでなく、セルフケアなども必要になります。患者さん自身ができるケアだけでなく、下痢が発症した際の食事について解説します。

看護部 リソースナースセンター
がん化学療法看護認定看護師
弘岡 貴子先生
看護部 リソースナースセンター
皮膚・排泄ケア認定看護師
入江 優子先生
栄養管理室
室長
長尾 美恵先生

独立行政法人 労働者健康安全機構 関西労災病院

写真左より

看護部 リソースナースセンター がん化学療法看護認定看護師
弘岡 貴子先生
看護部 リソースナースセンター 皮膚・排泄ケア認定看護師
入江 優子先生
栄養管理室 室長
長尾 美恵先生
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下痢の主な原因

抗がん剤の副作用

抗がん剤の投与によって腸管の運動が活発になり、腸内の水分が十分に吸収される前に排泄されるため起こるもの(早発性下痢)や、腸管の粘膜が障害されることにより起こるもの(遅発性下痢)があります。

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心理的ストレス

抗がん剤投与後に激しい下痢を経験すると、また繰り返すのではと不安になります。そのストレスで腸管粘膜が過敏になり、腸内の水分を吸収することができずに下痢を起こすこともあります。

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下痢を起こしやすい薬と発症時期

抗がん剤投与直後~数時間で起こる「早発性」の下痢と、投与後数日たってから起こる「遅発性」の下痢があります。抗がん剤の副作用では遅発性の下痢が多く、抗がん剤によっては早発性と遅発性の両方が起こるものもあります。

下痢を起こしやすい抗がん剤の例 下痢を起こしやすい抗がん剤の例
  • イリノテカン
  • フッ化ピリミジン製剤(S-1、カペシタビン、フルオロウラシルなど)
  • タキサン系の抗がん剤(ドセタキセル、パクリタキセルなど)
  • 分子標的薬(ゲフィチニブ、エルロチニブなど)
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日常生活の工夫

我慢せずにトイレに行きましょう

便意をもよおしたら、抗がん剤の投与中でも我慢せずにトイレに行きましょう。抗がん剤の作用で腸管が活発に動いている状態は、抗がん剤投与後24時間程度持続することがあります。
一方、抗がん剤投与後数日たってから起こる下痢には、あらかじめ下痢止め(止瀉薬)が処方されることがあります。服用するタイミングを医療従事者に確認しておきましょう。
外出のとき、下痢に不安を感じる方は、ナプキンやパッド、介護用下着などを使用する方法もあります。

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安静にしましょう

背中を丸めて横になるなど、自分が楽だと感じる姿勢で安静にしましょう。
お腹を温めると、症状が軽くなることがあります。腹巻きなどを使用して腹部が冷えないようにしましょう。使い捨てのカイロを使用される場合は、低温やけどに注意しましょう。

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水分をとりましょう

便とともに水分も排出されているので、脱水症状を起こさないように水分をとるよう心掛けましょう。
胃腸に負担をかけないよう常温で、1回に一口か二口くらいの少量をこまめにとります。
水や白湯でも十分ですが、経口補水液などでも良いでしょう。

洗いすぎに注意しましょう

下痢が続くと、お尻や肛門を綺麗にしようと気になる方が多いと思います。
ゴシゴシ拭いたり、石鹸で何度も洗ったりすると皮膚への刺激になりますので注意しましょう。
洗うのは弱酸性など肌に優しい石鹸で1日1回程度、それ以外はお湯に浸したガーゼなどで優しく拭くくらいが良いです。
温水洗浄便座を使用する場合は、低温で水圧は弱くしましょう。使用後は、押さえ拭きをしましょう。

保護しましょう

下痢の初期症状がひどくなると、拭いたり洗ったりする回数が増えるため、肛門やお尻がヒリヒリしたり発赤ができます。悪化するとびらん、潰瘍になることもあります。
皮膚が弱くなると排泄物も刺激になるため、排泄物が皮膚につかないように撥水クリームなどで保護ができます。ケアの方法など気になることや分からないことは、看護師に相談してください。

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食事の工夫

食欲があるときに、胃腸に負担が少ない、消化の良い軟らかいものを少量でも回数を増やしてとり、栄養素を補うようにしましょう。

おすすめの料理・食材の例

  • お粥、うどん
  • 卵、豆腐、鶏肉、白身魚
  • リンゴ、バナナ、桃
  • 汁物(味噌汁、野菜スープなど)
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避けた方が良い料理・食材の例

  • 食物繊維が多く硬いもの(ごぼう、れんこんなどの根菜類)
  • 油っぽいもの(脂身の多い肉など)、揚げ物
  • 甘みの強いもの(ノンシュガーのものも含む)
  • 酸味の強いもの(パイナップル、柑橘系の果物)
  • 乳製品
  • ガスの出やすいもの(炭酸飲料、芋類など)
  • 刺激物(香辛料、アルコール、カフェイン飲料)
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下痢のときのおすすめレシピ

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