01集客を加速させるために

第1回では自院の公式ホームページに「集客」し、そのサイト内のコンテンツで「接客」することで自院に患者さんを集めるインターネット集患の重要性を、第2回では「集客」を成功させるためのSEO(検索エンジン最適化)対策について解説しました。今回はさらに「集客」を促進するための施策として、MEO(マップ検索エンジン最適化)対策と口コミ対策を取り上げます。

MEOはMap Engine Optimizationの略で、簡単に言えばGoogleマップでの検索結果で上位に表示させることを目指すための施策です。Googleは車などの自動運転を普及させるために地図情報や位置情報に力を入れています。

02MEO対策によりマップ検索での上位を目指す

GPS機能のあるスマートフォンを1人1台以上持つのが当たり前の世の中です。お店などを検索した際に、検索結果に近くのおすすめのお店が表示され、お店の情報や口コミ、写真などが表示されるのを見たことはありませんか?

例えば「東京 美術館」でGoogle検索してみましょう。画面には、検索結果とあわせて【場所】という項目が出てきて、視覚的に地図からも探せるように設計されています。この地図の中には検索結果上位の施設が示されています。「近くの美術館」と検索すると、検索する人の位置に合った施設が表示されます(図)。

(図)東京都葛飾区周辺での「近くの美術館」検索結果, 2022年12月時点
(図)東京都葛飾区周辺での「近くの美術館」検索結果, 2022年12月時点

この検索結果に影響するのがMEO(マップ検索エンジン最適化)です。マップエンジンを最適化することにより、Google マップなどの地図アプリで自院の情報が検索結果の上位に表示され、位置情報からの来院の促進が期待できます。

では、マップ検索結果の順位はどのように決まるのでしょうか。たくさんの要素がありますが、その中でも重要なのが「自然検索結果」、「位置情報」、「Googleビジネスプロフィール」の3つと考えています。前回解説したSEO対策は、検索者が入力したキーワードで自院の公式ホームページを検索結果の上位に表示させる施策でした。キーワード検索結果の順位=マップ検索結果の順位ということではありませんが、両者には関係があります。

03MEO対策に必要なGoogleビジネスプロフィール

MEO対策には、Googleビジネスプロフィール(旧称:Googleマイビジネス)への登録が必須です。Googleビジネスプロフィールは無料で利用できるGoogleの店舗登録サービスです。Googleビジネスプロフィールに登録すると、Googleの検索結果に自院の情報が表示されやすくなりますし、表示される自院の情報を管理することができます。

Googleビジネスプロフィールには「クリニック名」「診療科名」「所在地」「診療時間」「電話番号」「ホームページURL」などの基本情報のほか自院の写真なども登録できます。Googleビジネスプロフィールでは、検索者が書き込んだ口コミの管理や口コミへの返信も可能です。

マップ検索結果の上位に表示されるためのポイントの1つは「レビューの数と質」です。Googleは口コミの中身も評価の参考にしており、口コミの数が多く、点数が高いと上位に表示されやすくなります。

患者さんはよく「地域名、診療科名」で検索するので、Googleビジネスプロフィールにこれらが含まれることが重要ですが、一方で、Googleビジネスプロフィールで守らなければならないのが「クリニック名が正式名称であること」です。正式名称以外はGoogleのガイドライン違反になります。また、入力情報の誤字脱字にも注意が必要です。

04影響力が大きい口コミに注意

口コミは、井戸端会議のようにアナログかつ小さなコミュニティでの情報伝達と思われがちですが、インターネットが発達した現在においてその影響力はとても大きくなっています。口コミの数や評価は患者さんの数に直結し、ポジティブな口コミが多いクリニックは、患者さんに人気があり、満足度の高い医療を提供しているイメージにつながります。

ただ、ポジティブな口コミよりもネガティブな口コミの方が広まりやすい傾向があります。患者さんの期待の高さと受診後の満足度とのギャップが大きければ、たとえ診療が適切だとしてもネガティブな口コミがインターネットに投稿されることになりかねません。ポジティブな口コミの獲得は重要な施策の一つとなる一方、ネガティブな口コミの流布は非常に困難な問題です。GoogleはGoogleビジネスプロフィール上の口コミを基本削除しませんので、低評価の口コミが多い場合は地図検索で上位に表示されにくくなり、新規患者さんを獲得しにくくなります。

いわれなき誹謗に対しては受けて立つくらいの気構えも必要かと思いますが、医療者側が気付いていない態度や言い方に対する口コミもあります。患者さんが医療者に直接不満を訴えるケースは少ないので、ネガティブな口コミには改善を促すヒントが隠れていると捉える姿勢もまた大切ではないでしょうか。

05ネガティブな口コミにどう対応する?

ネガティブな口コミへの医療者側の対応は主に3パターンあります。

  1. 1反論型

    謝罪することなく反論するパターンです。冷静に反論するのならまだしも、感情的になって患者さんに罵詈雑言を書き込むのは良くありません。口コミを見たユーザーは心が離れていってしまうでしょう。

  2. 2確認できませんでした型

    口コミの内容からカルテを確認し、そのような患者さんは確認できなかったと返信したり、自院ではありえないと説明したりするパターンです。口コミが嫌がらせであることを暗に示していると思われます。現実には全カルテを確認することは不可能でしょうし、多少の勘違いはあったとしても自院でないと指摘するのは口コミを見たユーザーに不誠実さを感じさせるでしょう。

  3. 3謝罪型

    内容にかかわらず、まずは丁寧に謝罪するパターンです。口コミを見たユーザーは誠意のあるクリニックだと感じるのではないでしょうか。

自院の不適切な対応が原因でネガティブな口コミをいただいた場合、誠実に返信することが大切です。反論するのではなく、まずは丁寧に謝罪することです。返信する際も「まず謝罪→感謝の言葉→改善点→改めて感謝」という流れをお勧めします。口コミを投稿された患者さんに丁寧に返信することでコミュニケーションが活発になり、治療継続率も上がることが期待できます。ネガティブな口コミは確かに気になりますが、反省すべき部分は反省し、気持ちを切り替えることが重要です。以前流行った「鈍感力」も私達には必要な能力です。

06患者さんに見つけてもらえるクリニックになるために

スマートフォンが普及し、患者さんの受診行動も変化しています。インターネットで検索した時や地図アプリで検索した時、自院の情報が真っ先に目に留まるように工夫を重ね、その結果、より多くの患者さんが訪れ、患者さんの困りごとに適切に対処できるクリニックを目指していきましょう。