01SEOとは?
第1回で説明したようにインターネットによる「集客」段階の施策としてはSEO(検索エンジン最適化)対策、MEO(マップ検索エンジン最適化)対策、口コミ対策などが該当します。ここではSEO対策について解説します。
SEOはSearch Engine Optimizationの略で、Googleなどの検索エンジンで検索された際に自院の公式ホームページが上位に表示されることを狙い、コンテンツ(文章)などを最適化するような対策を行うことです。SEO対策を制する者がネット集患を制すると言っても過言ではなく、決して怠ってはいけません。
02患者さんはどのようなキーワードで検索するか?
患者さんがクリニックを探す場合、どのようなキーワードで検索していると思いますか。検索キーワードとしては「地域名 診療科名」が典型的です。たとえば、「新宿 内科」のキーワードで検索している患者さんは、当然ですが「新宿にある内科」を探したいという意図があります。
知りたいキーワードで検索したあと、患者さんは検索結果の上位から順に閲覧します。何ごともスピーディーな今の世の中、検索結果の下位に行くほど閲覧されることが少なくなるのが現実です。事実、検索順位別クリック率データ(日本、2021年11月)では、検索順位1位のクリック率が約14%であるのに対して5位では約3%、10位は1位のおよそ10分の1のクリック率です(表)1)。
検索順位 | クリック率 |
---|---|
1位 | 13.94% |
2位 | 7.52% |
3位 | 4.68% |
4位 | 3.91% |
5位 | 2.98% |
6位 | 2.42% |
7位 | 2.06% |
8位 | 1.78% |
9位 | 1.46% |
10位 | 1.32% |
表 検索順位別クリック率
こうした傾向に鑑みれば、自院の公式ホームページがあったとしても検索結果の下位に表示されるのなら、それはないのと同じ、極端に言えばクリニックが存在しないのと同じということになってしまいます。
03検索結果の順位はどのようにして決まるか
検索エンジンでは、評価の高いホームページほど検索結果の上位に表示されるようになっています。Googleなどの検索エンジンは、クローラーというAIロボットがWebサイト上を巡回し、Webサイトを読み取り、ページを評価しています。このクローラーによって集められた(=クロール)情報がデータベースに登録(=インデックス)され、検索結果の表示に活用されます2)。そのため、クローラーが定期的にホームページに訪れるよう促すこと、ページの内容を正しくクローラーに伝えるような工夫が必要です。
Googleでは、「満足度」と「信頼度」という2つの軸でホームページを評価し、検索結果の順位を決めています。
ホームページの「満足度」を高めるには
Googleは、ユーザーのニーズに合った「満足度」の高いコンテンツを評価しており、ユーザーのサイト内の行動を指標にしています。主な指標は、ホームページの平均滞在時間、平均ページビュー(PV、ページを開いた回数)、直帰率(ホームページを訪れた際に着地した最初に開いたページだけを見て、そのままホームページから離脱してしまう割合)などです。
ユーザーの「満足度」を高め、クローラーに情報を伝えるために、次のことを実施しましょう。
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1ホームページのトップページに地域名、診療科名を含める
検索結果で上位表示させたいキーワードをホームページに入れるとクローラーが認識しやすくなります。トップページのタイトルに不自然ではない形で含めます。
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2クリニックのイメージが伝わる写真・動画を入れる
クリニックの外観、受付、待合室、診察室、処置室、医療機器、医師本人などの写真をホームページに掲載します。動画はある程度コストがかかるため作成には慎重を要しますが、ユーザーの満足度は高まりやすくなります。ただし、退職したスタッフの写真を使い続けると本人から削除依頼を受けることがあるので注意しましょう。
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3オリジナリティがあって患者さんが理解しやすい医療関連コンテンツを用意する
他のサイトのコピーなどではなく、オリジナルの内容であることがポイントです。どんなにすばらしいコンテンツでも、それがコピーや、少し表現を変えた程度ではGoogleからは全く評価されません。医師本人がわかりやすく書ければよいのですが、往々にして小難しくなりがちなので、医療ライターに執筆してもらい、医師がチェックする方法もあります。
ホームページの「信頼度」を高めるには
次に、Googleはどのように「信頼度」を評価しているのでしょうか。GoogleがWebサイトの品質を評価する際に基準としているもののひとつに「E-A-T」というものがあります。EはExpertiseの頭文字で専門性、AはAuthoritativenessの頭文字で権威性、TはTrustworthinessの頭文字で信頼性です。医療施設のWebサイトでは、「E」「A」はクリアしているとして、もう一つのT(信頼性)が重要になります。信頼性の指標の1つになっているのがWebサイトやページのリンク(自サイトと外部サイト、自サイト内)であり、クリニックの公式ホームページではさらに薬機法や医療広告ガイドラインの遵守が求められ、それが信頼度に影響します。
「信頼度」を高めるために、次のことを実施しましょう。
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1他の信頼できるサイトにリンクを貼ってもらう(外部被リンク)
権威のあるサイトからのリンクがあると信頼性がより高まります。病院検索サイトや学会、医療機関、医師会などのサイトに自院のURLを貼ってもらえないか相談するのも1つの手段です。同じ地域の、公共性の高いサイトからのリンクも効果的です。登録できるのにしていないのは好機を逸しています。ホームページ管理者などに問い合わせ、申請することをお勧めします。
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2信頼度の高いサイトへのリンクを貼る(外部発リンク)
学会や製薬企業などのサイトのURLを自院の公式ホームページに掲載してリンクすると、信頼性が高まると言われています。例えば根拠となる参考文献を掲載し、より詳しい説明を患者さんが求めた場合に該当するサイトに遷移してもらうことができます。患者さんがリンク先のサイトで追加情報を得ることで「信頼性」だけでなく「満足度」も高めることができます。
ただし、サイトの評価を目的として、文脈と無関係に設置している発リンクはGoogleではマイナスの評価となることもあるので、ご注意ください。 -
3薬機法や医療広告ガイドラインを遵守した内容を記載する
公式ホームページは薬機法や医療広告ガイドラインを遵守していなければなりません。使用が不適切とされる表現や画像があるので注意してください。Googleにはサーチクオリティチームという組織があり、違反と判定されるとホームページの評価が下げられてしまうこともあります。
04まとめ:Web検索で自院を見つけてもらうために
まずは自院のある地域での「地域名 診療科名」検索で上位表示を目指し、トップページを見直しましょう。その上で、自院のイメージと自身の専門とする分野での情報を発信するために写真・動画を加えたり、信頼度の高いコンテンツを追加したりします。これらによって自院の公式ホームページに対する「満足度」を高めます。また、権威性の高いサイトからのリンク(外部被リンク)やそこへのリンク(外部発リンク)を貼ることなどで「信頼性」を高める工夫も求められます。
今回はネット集患のためのSEO対策の話でしたが、さらに集患力を高めるにはMEO対策と口コミ対策も重要です。これらについては次回、詳しく解説しますのでご期待ください。