【介護との連携】
協力医療機関の往診、入院調整を評価 障害福祉サービスとの連携も
本改定では、医療と介護のスムーズな連携への評価が多く設定されます(図表5)。在宅療養支援診療所(以下、在支診)等や、地域包括ケア病棟は、介護保険施設の求めに応じて協力医療機関となることが望ましい-と要件化されます。
新設の「協力対象施設入所者入院加算(以下、入院加算)」は、介護保険施設入所者の急変時に協力医療機関の医師が診察をした上で入院させた際に算定可能です(往診を行った場合は600点、それ以外の場合は200点/入院初日)。施設基準では、▽緊急時に入所者が入院できる病床の常時確保、▽在支診等または地域包括ケア病棟・病室を持つ医療機関であること、▽介護保険施設と平時からの連携体制を構築-等の要件を満たすことを求めます。また、協力医療機関の医師が、介護保険施設入所者の急変時に往診を行った場合の「介護保険施設等連携往診加算(200点)」を新設。算定にあたっては、入院加算と同様、介護保険施設との連携体制構築に加え、介護保険施設から24時間連絡を受ける担当者を予め指定し、その連絡先を介護保険施設に提供しておく必要があります。
医療保険の疾患別リハビリテーションから、介護保険の訪問・通所リハビリへのスムーズな移行を促す対策も講じます。脳血管疾患等、廃用症候群、運動器の各リハビリテーション料の算定要件や施設基準において、患者が他のリハビリを提供する医療機関や訪問・通所リハビリに移行する場合は、移行先の医療機関・事業所にリハビリ実施計画書等を文書で提供することを要求(「心大血管疾患リハビリテーション料」は他の医療機関への移行のみを対象に同様の規定を新設/現行の「リハビリテーション計画提供料1、2」は廃止)。さらに訪問・通所リハビリの利用予定がある患者に対し、退院時の共同指導を行う際には、リハビリ事業所の医師等の参加を求めることが望ましい旨を、「退院時共同指導料2」の要件に追加します。
その他、かかりつけ医機能の評価である「地域包括診療料・加算」では、サービス担当者会議や地域ケア会議への参加実績、ケアマネジャーとの相談等に関する施設基準を追加。有床診療所での「介護障害連携加算(「介護連携加算」より名称変更)」では、肢体不自由児(者)を対象として追加し、介護保険の訪問リハビリテーション、訪問栄養食事指導および障害福祉サービスの医療型短期入所の提供実績を基準として追加します。
(図表5)医療と介護の連携推進
出典:厚生労働省 2024年度診療報酬改定説明資料等について 医科全体版( 一部抜粋、改変)
【保険薬局との連携】
「調剤後薬剤管理指導加算」は「指導料」に格上げ、慢性心不全を対象に追加
薬剤師が地域の医療機関と連携して行う、調剤後のフォローアップ業務の推進では、現行の「服薬管理指導料」の「調剤後薬剤管理指導加算」を廃止し、「調剤後薬剤管理指導料」に変更。対象になる糖尿病薬の範囲拡大と、対象患者へ慢性心不全患者の追加を行います。点数設定は糖尿病患者、慢性心不全患者とも60点(月1回/「服薬情報等提供料」との併算定は不可)。算定要件では、▽調剤後に電話等による使用状況や副作用の有無等を確認、▽必要な薬学的管理と指導の継続的な実施、▽処方医に必要な情報を文書で提供-を求めます。なお、「調剤後薬剤管理指導料」が対象とする業務や、「吸入薬指導加算(30点/3カ月に1回)」が評価する吸入薬に関する情報提供、服薬指導は、かかりつけ薬剤師が通常行う業務の範囲には含まれないことから、いずれの報酬とも「かかりつけ薬剤師指導料」患者での併算定を認めます。
「服薬情報等提供料2」リフィル処方箋調剤後の処方医への文書での情報提供を評価
さらに保険薬局と医療や介護等の多職種連携推進(図表6)では、薬剤師が行う情報提供の評価として「服薬情報等提供料2」の評価を細分化。薬剤師が必要性を認め、▽医療機関に必要な情報を文書により提供した場合、▽リフィル処方箋での調剤後、処方医に必要な情報を文書により提供した場合、▽ケアマネジャーに必要な情報を文書により提供した場合-は、1ヵ月につき各20点が算定可能です。その他、介護保険施設への適切な薬剤提供や服薬管理等を推進するため、「服薬管理指導料3」の対象患者を特別養護老人ホームの利用者限定から、ショートステイ等の利用者に拡大(処方箋受付1回につき月4回まで)。
また、「外来服薬支援料2」で新設された「施設連携加算(50点/月1回)」では、▽特別養護老人ホーム等と協働した保険薬局の薬剤師が、患者の入所時に施設職員と協働し患者が服薬中の薬剤を含めた服薬管理の支援-等が算定要件となります。なお、「施設連携加算」の具体的業務内容等では、▽施設入所時に服用薬剤が多い、▽新たな薬剤処方もしくは薬剤の用法や用量が変更、▽副作用等の体調の変化について施設職員からの相談-等の留意事項通知が付記されています。
(図表6)保険薬局を中心とした医療と介護との連携推進
出典:厚生労働省 2024年度診療報酬改定説明資料等について 調剤版( 一部抜粋、改変)