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改正 医薬品医療機器等法

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改正薬機法施行~フォローアップは職能発揮の手段、人も場も対人業務にシフト

2019年12月公布、2020年9月施行となった「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(医薬品医療機器等法/以下、改正薬機法)」では、保険薬局が単なる調剤業務を行う場所ではなく、「医薬品適正使用のための情報提供と指導の業務を行う場所」として再定義されるとともに、保険薬局・薬剤師が行うべきこととして、具体的に「服薬期間中の患者フォロー義務化」、「処方医などへの情報提供も努力義務」として盛り込まれています。「対物業務から対人業務へ」は近年の調剤報酬改定での重要テーマであり、2020年度調剤報酬改定では、対物業務から対人業務への「構造的な転換」という文言を使い、地域医療において発揮すべき職能に具体的に踏み込んだ評価へと一層の推進が図られたのは記憶に新しいところです。

改正薬機法の背景には実感薄い分業の効果 フォロー内容は記録して3年間保存

改正薬機法では、何が変更になったのでしょう。この改正に向けた議論では、「医薬分業の効果を国民が実感できていない」などの厳しい意見もある中、対人業務の充実と薬局機能の強化が図られました。改正点は、①服用期間を通じた継続的な薬学的管理と患者支援の義務化、②医師等への服薬状況等に関する情報提供の努力義務化、③特定の機能を有する保険薬局の認定制度の導入、④テレビ電話等による適切な服薬指導の導入―の4つです。①②④は2020年9月1日、③は2021年8月1日に施行されることになっています(図表1)。

(図表1)医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律(令和元年法律第63号)の概要

出典:厚生労働省 令和元年度 全国厚生労働関係部局長会議 説明資料-医薬・生活衛生局(一部抜粋、改変)

このうち、現場の薬剤師に大きな影響を与えると思われるのは、やはり①ではないでしょうか。これまでも、薬局開設者(薬機法)、薬剤師(薬剤師法)には調剤時に薬学的知見に基づく指導などを行う義務がありましたが、両法を同時に改正することで、両者に服薬期間を通じた薬学的管理など、いわゆる継続的なフォローアップを行うことを義務付けています(図表2)。改正薬機法に伴う改正省令案によると、フォローアップで把握すべき患者情報は、販売・授与時の確認事項や服薬状況、服薬中の体調の変化です。薬局開設者と薬剤師には▽情報の提供・指導を行った年月日▽提供した情報や指導の要点▽情報提供・指導を行った薬剤師と患者の氏名―などを記録することが義務付けられ、薬局開設者はこれらの記録を記入日から3年間保存しなければなりません。また、情報の提供・指導を行う際は、必要に応じてお薬手帳を活用することが記載されています。

(図表2)薬剤師の業務に関する規定の見直し-対人業務の充実-

出典:厚生労働省 令和元年度 全国厚生労働関係部局長会議 説明資料-医薬・生活衛生局(一部抜粋、改変

必要に応じ薬剤師の裁量でフォロー 医薬連携ルートの明文化でより一層の推進を

改正省令案に記載されているのはフォローアップの基本的内容であり、具体的内容については施行通知が発出される可能性もありますが、厚労省はガイドラインを作成することはないとしており(※1)、薬剤師の判断で患者の状況に応じて実施するものとの考えを示しています。フォローアップは全ての患者が対象ではなく、必要に応じて行うとされていることからも、薬剤師の裁量に任されているといえるでしょう。

(※1)2020年7月に日本薬剤師会が「薬剤使用期間中の患者フォローアップの手引き(第1.0版)」を公表

②の努力義務化では、フォローアップで得られた情報や指導内容は、医師などに情報提供して医療提供施設間との連携推進に努めることが求められます。2019年に中央社会保険医療協議会総会で公表された調査結果によると、診療所においてかかりつけ患者の全処方薬と通院先の把握を大きな負担と感じる実態があります(図表3)。努力義務ではありますが、医療機関と保険薬局の業務効率化を図り、疑義照会とは異なる医薬連携のルートが明文化された意義は大きく、今後、薬剤師の日常業務として加わってくることも十分に予想できます。

(図表3)診療所において負担の大きな業務

出典:厚生労働省 中央社会保険医療協議会 総会(第423回)個別事項(その1)について(一部抜粋、改変)

その他、保険薬局の「定義」が変更されたことも重要なポイントです(図表4)。保険薬局が薬剤の提供だけでなく、薬剤および医薬品の適正使用に必要な情報の提供や薬学的知見に基づく指導、つまり「対人業務を行う場所であること」が明確化されています。フォローアップはまさに対人業務であることからも、フォローアップを薬剤師の職能発揮のための手段として捉える必要があります。

(図表4)改正薬機法における保険薬局の定義変更

出典:厚生労働省 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律(令和元年法律第63号) 新旧対照表(一部抜粋、改変)

服薬フォローアップの具現化点数、「フィードバック」もキーワードに

改正薬機法に関連する算定項目としては、保険医と連携して患者の服薬状況を一元的・継続的に把握した上で患者に対して服薬指導等を行った場合に算定できる「かかりつけ薬剤師指導料(76点)」。2020年度調剤報酬改定で新設された薬剤服用歴管理指導料「特定薬剤管理指導加算2(100点・月1回)」は、薬局薬剤師が患者のレジメンなどを把握した上で必要な服薬指導を行い、次回の診療時までの患者の状況を確認し、その結果を医療機関に情報提供することで算定可能です。また、対人業務への評価として新設された「調剤後薬剤管理指導加算(30点・月1回)」も関連する算定項目です。地域支援体制加算を届け出ている保険薬局が、インスリンなどの糖尿病治療薬の調剤後(新規あるいは内容変更)も副作用の有無の確認や服薬指導を行い、その結果を医師に情報提供した場合を評価します。まさしくこれらは、改正薬機法で義務化された「服薬期間中の患者フォロー」と「医師等への情報提供の努力義務化」に該当する点数でしょう。薬剤服用歴管理指導料で新設された加算には、「医療機関へのフィードバック」という共通するキーワードが盛り込まれています。

オンライン服薬指導は信頼関係が基本、特例措置は電話可で指導計画も不要

さらに改正薬機法のポイント④の情報通信機器を用いた、いわゆるオンライン服薬指導(図表5)。2020年度調剤報酬改定で新設の「薬剤服用歴管理指導料4(情報通信機器を用いた服薬指導)(43点・月1回まで)」については、3月に施行通知が発出されており、すでに実施要件や留意事項などが明らかになっています。新型コロナウイルス感染症の拡大により、期せずして行われることとなりましたが、本来は2020年9月の改正薬機法の施行により解禁されるものでした。現在はあくまでも時限的特例措置であり、本来の実施要領とは異なることに注意が必要です。

(図表5)オンラインによる服薬指導

出典:厚生労働省 令和元年度 全国厚生労働関係部局長会議 説明資料-医薬・生活衛生局(一部抜粋、改変)

まず、基本的な考え方として留意すべき事項には、▽薬剤師と患者との信頼関係▽薬剤師と医師または歯科医師との連携確保▽患者の安全性確保のための体制確保▽患者の希望に基づく実施と患者の理解―を挙げています。実施要件としては、薬局開設者に対し、その保険薬局の薬剤師が同一内容またはこれに準じる内容の処方箋によって調剤した薬剤について、直接対面での服薬指導を行ったことがある場合に行わせるよう求めており、薬剤師と患者には、日ごろから継続して服薬指導が行われるなど、信頼関係が築かれているべきとしています。また、服薬指導計画の策定も要件の一つです。計画には▽取り扱う薬剤の種類と授受の方法▽対面での服薬指導との組み合わせ(頻度やタイミング)▽実施できない場合の対応▽緊急時の対応方針―などを記載する必要があります。オンライン服薬指導の対象となる薬剤は、医師・歯科医師によるオンライン診療と、訪問診療(患者の居宅などで医師や歯科医師が薬剤師との継続的な連携の下に行うものに限る)で交付された処方箋によって調剤されたものとなっています。

これに対し、現在の時限的特例措置下では、患者が希望すればオンライン服薬指導の実施が可能な上、電話での実施も可能、指導計画の策定も必要ありません。この特例措置がどこまで継続されるかは未知数ですが、本来の実施要件が適用された場合に備えた注意が必要です。

今回の改正薬機法では、「薬剤師が本来の役割を果たし地域の患者を支援するための医薬分業の今後のあり方」として議論が取り纏められた経緯があります。地域での医薬品の供給を担うのは保険薬局であり、薬剤師です。疾病や重症化の予防、ポリファーマシーへの対応等、この施行のタイミングを今後に繋がる重要な節目と捉え、医師とより一層相互連携していくことで、地域の健康を担っていくことが求められています。

(編集:株式会社日本経営 2020年10月作成)

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