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Q.医療機関の広報物等の年号表記は?

私たちは新元号発表と同時に、電子カルテ、医事・会計等のシステム改修へ早急に着手していますが、同時にホームページや患者向けの様々な広報物、今後の事業計画書等の文言に関し、西暦と新元号の並列表記か、新元号だけに統一した表記にするのが良いのか迷っています。
 元号を使った場合、今後も皇位継承のたびにシステム改修や広報物の表記の変更に迫られる等、職員は煩雑な業務に追われます。一方で、高齢の患者さんには、元号の方が馴染みやすいということもあるでしょう。いずれにおいても、クリニックの運営においてメリット、デメリット両方あると思うのですが、どちらを選択すべきなのでしょうか。
(東京都 クリニック院長)

A.今後は医療機関でも「元号」だけの表記することは殆どなく、「西暦」と「元号」の並列表記か、「西暦のみ」の表記になっていくと思われます。

医療機関を運営する上で、「西暦のみ」表記の方が、様々な面でメリットが大きいと考えられます。その最大の理由は現在から将来に向けて確実に訪日外国人が増加することが明らかであり、外国人患者への医療提供に対し、医療機関側が対応を迫られるからです。
 法務省によると2018年末時点で日本に暮らす外国人は、約273万人。OECDの「1年以上、外国に居住する人」を移民とするデータでは、2015年に日本に流入した外国人数は約39万人にも及び、先進国ではドイツ、アメリカ、イギリスに次ぐ数字です。2018年には改正入管法が成立し、外国人労働者への門戸が拡大されたのは、周知の通りです。

外国人の初診患者が貴クリニックを受診し、事務職員が「平成(あるいは昭和)何年生まれですか?」と訊ねるのは患者本位の医療とは言えませんし、外国人患者には西暦でお伺いする配慮が必要になるでしょう。
 東京にある貴クリニックの場合は、今後も更に、外国人の健診・人間ドック利用者が増加することが予想されます。外国人居住者の多い地域の医療機関は、西暦に統一した方が得策であるのは間違いありません。

並列表記は業務の煩雑さだけではありません。例えば、小さなカード型の診察券に外国人の患者用として、英語とカタカナ表記、更に生年月日も「西暦」と「元号」の両方を入れるとなると、文字が小さくなり読みづらかったりもします。間違いも生じやすいので、東京オリンピックを2020年に控えて「西暦」表記に統一するのが適切だと感じます。また、先生も指摘されているように、元号改正のたびにシステム改修や表記の変更を余儀なくされるのは、合理的ではありません。

また、厚生労働省では2018年11月「訪日外国人旅行者等への医療提供に関する検討会」を発足させ、各都道府県に外国人患者の受け入れ拠点となる医療機関の選定を依頼し、選定が進められていくとの話もあります。今後の自クリニックの展開を考慮し、「元号」だけで表記することは避け、「西暦」と「元号」の並列表記か、「西暦のみ」の表記にすることが望ましいのではないでしょうか。

(医療ジャーナリスト 冨井淑夫 / 編集 株式会社日本経営)
(更新:2019年6月)

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