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日常生活のアドバイス

味覚障害
味覚障害の患者さんへ美味しく食べられる食事の工夫
食事

抗がん剤の影響などで、多くのがん患者さんが「食事の味が変わった」と言われます。
痛みや体調不良と違い、他の人にはわからない感覚なので、家族などにも理解されにくいのが実情です。多くの方は治療が終わりしばらくすると味覚がもとに戻りますが、食事の楽しみは生活する上でのパワーにもつながりますので、治療中でも不快に感じる味覚をできるだけ減らすことが大切です。そこで、味覚障害の患者さんでも美味しく食べられる料理や生活の工夫をご紹介します。

東京聖栄大学 健康栄養学部 管理栄養学科 准教授
宮内 眞弓先生
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味覚障害が起こる主な原因

抗がん剤の副作用

舌にある味覚を感じる味蕾(みらい)細胞が、抗がん剤によって障害されたり、抗がん剤と亜鉛のキレートによって亜鉛が不足し、味覚障害が起こります。
また、口腔内が乾燥しやすくなることも原因の1つです。

イラスト

放射線の照射

放射線の照射部位によっては唾液が出にくくなり、口腔内が乾燥して味覚障害が起こることがあります。

加齢

加齢に伴い、味覚の感じ方が弱まったり、唾液が出にくくなるといった身体の変化が起こります。

味覚障害を起こしやすい薬と発症時期

抗がん剤治療・放射線治療ともに、治療開始数日から数週間ぐらいに味覚障害の症状が出やすいと言われています。そして、多くの方は、治療を終えると味蕾が再生され、味覚が戻ります。

味覚障害を起こしやすい
抗がん剤の例
  • プラチナ製剤(オキサリプラチン、カルボプラチンなど)
  • タキサン系の抗がん剤(パクリタキセル、ドセタキセルなど)
  • フッ化ピリミジン製剤(S-1など)
  • 分子標的薬

味覚障害の主な症状

味覚の変化は個々により異なります。大きく分けると「本来の味と異なるように感じる」「味を強く感じる」「味が薄く感じる」となりますが、「苦味を感じる」、「砂を噛んでいるような気がする」などと表現する方もいます。

患者さんが訴える主な症状の例
  • 本来の味と異なるように感じる
    • ・ 苦く感じる
    • ・ 金属の味がする
    • ・ なんだかいつもと違う味がする
  • 味を強く感じる
    • ・ 塩辛く感じる
    • ・ なんでも甘く感じる
  • 味が薄く感じる
    • ・ 味が薄い
    • ・ 味がしない
    • ・ 砂を噛んでいるみたい
    • ・ 食べ物が何かに包まれているみたい

食事の工夫

脱水に気を付けましょう

食事がとれないと、食事から得る水分も減ってしまいます。
できるだけ水分をとるようにしましょう。
食事があまりとれない状態のときは、スポーツドリンクでも良いでしょう。

食事を楽しみましょう

食事の摂取量が減らないようにするには、楽しみながら食べること。
家族や友人と一緒に食事をしたり、外食したり気を紛らわせて、食事を薬のように「食べなければいけない」と使命感で食べるのではなく、見た目や香りを工夫して楽しみながら食べましょう。

身体を動かしましょう

便秘の時は食欲が落ちるので、できるだけ便秘を解消するように身体を動かすことを心がけましょう。

食事のタイミングを工夫しましょう

治療中は食事の回数にこだわらず、食べたい時に少量ずつでも食べましょう。

口腔ケアをしましょう

口腔内を清潔に保つことで、味の感じ方や口の中の違和感が軽減できます。食べる前に、レモン入りの水を飲むなどして、口腔内をさっぱりさせておいても良いでしょう。

作ることにこだわらないようにしましょう

治療中で身体がつらい時は、無理に手作りしようとせず、スーパーやコンビニで買えるものを利用して、簡単な料理を心がけましょう。栄養が偏っても、一時のこととおおらかに考えて、体調が戻ったらバランスよく食べることを心がけてください。
インスタントのうどんが美味しく食べられると聞きますので、いろいろ挑戦してはいかがでしょうか。

ご家族の方へ

患者さんが食事をとれる状態であれば、なるべく一緒の食卓で食事をしてください。量は少なめに、目でも楽しめるように盛り付けをすると、気が紛れ、楽しく食事ができます。味覚障害であることを理解して、ご本人が好きな味を一緒に探してあげてください。
また、においに敏感になる方も多いので、魚を焼いたりする時などは配慮してください。反対に、においを感じにくくなっている場合もあります。その場合は、色のある食材を使うなど、目で楽しめるような工夫をすると良いでしょう。以前と味覚が異なるので、今まで以上に美味しく感じるものや、今までのようには美味しく感じなくなったものが出てくると思います。好きなものだけ食べるのではなく、いろいろなものに挑戦するほうが良いと思います。

味覚障害のときのおすすめレシピ

「本来の味と異なるように感じる」、「味を強く感じる」、「味を薄く感じる」などそれぞれの症状に合わせたおすすめレシピをいくつかご紹介いたします。
「味を強く感じる」場合は味付けを薄めにするように工夫してください。

宮内先生おすすめ “だししょう油”と “だし酢”

だしがきいているとしょう油や酢の味がまろやかになり、味覚障害の方も美味しく感じられるようです。
作り置きしておくと、料理が楽になります。

だししょう油を使ったレシピ

苦味を強く感じる方におすすめ

苦味を強く感じるときは、さっぱりとした味つけの料理が食べやすいようです。しょう油や塩は少なめにするほうが良いでしょう。

味が薄く感じる方におすすめ

味が薄く感じる患者さんからは「食べ物が何かに包まれているみたい」という声をよく聞きます。少しでも味を感じることができるようキムチや梅を使用したレシピをご紹介します。みそ汁や煮物も、いつもよりだしをきかせて、旨みを強くすると食べやすくなります。

金属の味がする方におすすめ

本来の味と違なるように感じる味覚障害の患者さんの中には、金属の味がするように感じる方が多いようです。塩やしょう油は控えめのほうが良いですが、カップラーメンを美味しく感じる方も多いようです。カップラーメンは塩分が強くても、だしの味も強いので食べやすいと思います。

口の中が乾く方におすすめ

治療中だけでなく、加齢に伴い口の中が乾き、味が分かりにくくなることがあります。そのような場合は、お茶漬けや雑炊、麺類、スープ、ポタージュのように水分の多い料理がおすすめです。

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