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医療制度トピックス

現場で活かす医療制度トピックス Vol.2

INDEX

・診療報酬本体を3.09%引き上げへ 予算大臣折衝
 物価動向に柔軟に対応する仕組みを導入、薬価等は0.87%引き下げ
・2026年度薬価算定基準見直しを了承 中医協総会
・電子カルテ情報共有サービス、全国運用は2026年度冬ごろに

診療報酬本体を3.09%引き上げへ 予算大臣折衝
物価動向に柔軟に対応する仕組みを導入、薬価等は0.87%引き下げ

上野賢一郎厚生労働大臣と片山さつき財務大臣は12月24日、2026年度予算編成に向けた大臣折衝を行い、2026年度改定で診療報酬本体を3.09%引き上げることで合意しました。薬価(▲0.86%)と材料価格(▲0.01%)は合計で0.87%(国費▲1,063億円程度)引き下げます。診療報酬については物価動向に柔軟に対応する仕組みを導入し、本体改定分のうち0.62%を充てて対応する診療報酬項目を設定。経済・物価動向が改定時の見通しと大きく乖離した場合は、2027年度予算編成で加減算などの調整を行う予定です。

診療報酬本体の改定率3.09%は2年度分の平均値でその内訳は、2026年度が2.41%(国費2,348億円程度)、2027年度が3.77%。施策別の内訳は、(1)賃上げ分1.70%、(2)物価対応分0.76%、(3)食費・光熱水費分0.09%、(4)2024年度改定以降の経営環境の悪化を踏まえた緊急対応分0.44%、(5)後発医薬品への置換えの進展を踏まえた処方や調剤に関する評価の適正化、実態を踏まえた在宅医療・訪問看護関係の評価の適正化、長期処方・リフィル処方の取り組み強化等による効率化▲0.15%、(6)前出の(1)~(5)を除く改定分0.25%(各科改定率:医科+0.28%、歯科+0.31%、調剤+0.08%)-となっています。
これらの施行時期は薬価改定が2026年4月、診療報酬と材料価格の改定は2026年6月となります。

【参考】令和8年度診療報酬改定の基本方針の概要

【参考】令和8年度診療報酬改定の基本方針の概要

出典:令和8年度診療報酬改定の基本方針の概要(令和7年12月9日 令和8年度診療報酬改定の基本方針), https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_66904.html より作成

2026年度薬価算定基準見直しを了承 中医協総会

中央社会保険医療評議会総会は12月26日、2026年度薬価制度改革の骨子を決定、薬価算定基準等の改正案に反映され、1月16日に了承されました。長期収載品の薬価の更なる適正化やオーソライズド・ジェネリック(AG)の新薬収載時の薬価見直しなどが改正案に盛り込まれました。以下で主な内容を見ていくことにしましょう。

■長期収載品の段階的薬価引き下げをG1に一本化、適用時期を後発品上市から5年後に前倒し
長期収載品では、後発品の上市後5年と10年のタイミングで後発品への置換え率に応じて薬価を段階的に引き下げるルールの大幅な見直しが行われます。
後発品上市から10年経過後に適用されるルールには、▽後発品置換え率が80%以上の品目が対象のG1、▽置換え率80%未満の品目が対象のG2、▽すでに薬価が一定程度下がっているためにG1、G2の対象にならない品目の補完的引き下げルールのC-の3種類がありますが、これをG1に一本化。適用時期も前倒しし、後発品上市から5年経過した長期収載品は後発品置換え率を問わず、G1が適用されることになります(図表1)。

【図表1】長期収載品の薬価の更なる適正化(イメージ)

【図表1】長期収載品の薬価の更なる適正化(イメージ)

出典:薬-2 令和8年度薬価改定について⑦(令和7年12月3日 中央社会保険医療協議会薬価専門部会(第242回)), https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_66593.html より作成

さらに従来のCに代わる薬価の補完的引き下げルールを設けます。引き下げ率は後発品置換え率に関係なく一律2%とし、G1適用後の薬価には、G1による引き下げ後の額と補完的引き下げ後の額のうち、いずれか低い額を適用します。
これらの見直しに伴い、これまでの後発品上市5年後の引き下げルールであるZ2は廃止。バイオ後続品(バイオシミラー)のあるバイオ先行品に新たにG1を適用することも決まりました。
今改定における2024年度の薬価改定時にG2に該当していた品目の取り扱いは、下記の通りです(図表2)。
▽初めてG2に該当または該当から2年経過していた品目
G1該当から2年後の区分を適用し、後発品薬価の加重平均値の2倍まで薬価を引き下げ
▽G2該当から4年または6年経過していた品目
G1該当から4年後の区分を適用し、後発品薬価の加重平均値の1.5倍まで薬価を引き下げ
なお、長期収載品の関連では選定療養における追加負担水準の見直しも併せて実施。これまでの後発品との価格差の1/4相当から1/2相当に引き上げます。

【図表2】2024年度薬価改定時にG2に該当した品目の取り扱い

【図表2】2024年度薬価改定時にG2に該当した品目の取り扱い

出典:薬-2 令和8年度薬価改定について⑦(令和7年12月3日 中央社会保険医療協議会薬価専門部会(第242回)), https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_66593.html より作成

■AG・バイオAGの新規収載時の薬価は先発品と同額とし、後発品との適切な競争促す
これまでは新規後発品の薬価はAGも含め、原則として先発品の薬価に0.5を乗じた額に設定されていました。ただ、AGは後発品よりも市場シェアが大きくなる傾向がある上、先発品企業がAGの製造販売業者からライセンス料を得るケースが多いことから、「形を変えた先発品企業の長期収載品依存になっている」との意見もありました。
そこで2026年度制度改革では後発品の適切な競争環境の形成・維持を目指し、AGの新規収載時の薬価を先発品と同額とする見直しを行います。バイオAGの新規収載時の薬価もバイオシミラーと同一の扱い(=バイオ先行品の薬価の0.7掛け)を改め、先行品と同額とします。なお、このルールは2026年10月以降に薬価収載されたものから適用されます。

■後発品の価格帯集約ルール、A区分企業の品目は価格集約せず銘柄別改定
後発品を中心とした医薬品の安定供給確保のための対応として後発品の価格帯集約ルールに関しては、▽注射薬とバイオシミラーは同一規格・剤形内の品目数が少なくなっていることを踏まえ、最高価格の30%を下回る薬価のものを除き、価格帯集約を行わない、▽G1品目の後発品の1価格帯集約は廃止する、▽企業指標による評価でA区分となった企業の対象品目、適用条件のいずれの要件も満たす品目は価格帯集約をせず、品目ごとの改定とするー見直しを行います(図表3)。

【図表3】後発品の価格帯集約 見直し後の適用イメージ

【図表3】後発品の価格帯集約 見直し後の適用イメージ

出典:薬-2 令和8年度薬価改定について⑦(令和7年12月3日 中央社会保険医療協議会薬価専門部会(第242回)), https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_66593.html より作成

■薬価の下支え制度の充実、最低薬価・不採算品再算定
最低薬価では、局方品で錠・カプセルなどが10.80円/錠・Cap、散剤(細粒剤を含む)・顆粒剤などが8.00円/g等、その他の医薬品で錠・カプセルなどが6.30円/錠・Cap、散剤(細粒剤を含む)・顆粒剤などが6.90円/gなど、一律3.5%を引き上げます。外用塗布剤は規格単位に応じた最低薬価の区分に新たに加える他、点眼・点鼻・点耳液には、点眼薬の最低薬価を適用します。
不採算品再算定は、▽基礎的医薬品とされたものと組成及び剤形区分が同一の品目、▽重要供給確保医薬品に位置付けられている品目、▽極めて長い使用経験があり供給不足による医療現場への影響が大きいと考えられるその他品目など、継続的な確保を特に要する薬剤であって、特定の企業からの供給が途絶えた時に代替供給の確保が困難な品目-のいずれかを満たす品目を対象に実施します。
また、組成、剤形区分及び規格が同一の類似薬が全て不採算品に該当することを求める要件は廃止し、該当する類似薬のシェアが5割以上であって他の要件を満たす場合は不採算品再算定を適用する取り扱いに改めます。

■新薬創出等加算は制度の趣旨明確化のため名称変更、市場拡大再算定の共連れルールは廃止へ
この他にも、▽「新薬創出・適応外薬解消等促進加算」は「革新的新薬薬価維持制度」に名称変更、▽市場拡大再算定の類似品への適用(いわゆる共連れルール)の廃止、▽市場が急拡大した高額医薬品の再算定における薬価引き下げ幅の拡大-などが実施されます。

電子カルテ情報共有サービス、全国運用は2026年度冬ごろに

厚生労働省は12月上旬、電子カルテ情報共有サービスの全国での運用開始時期を2026年度冬ごろとする方針を「健康・医療・介護情報利活用検討会 医療等情報利活用ワーキンググループ」で示しました。

電子カルテ情報共有サービスは、全国の医療機関などで電子カルテ情報の共有・閲覧を可能にするサービス。診療情報提供書などの文書情報(3文書)と、検査や処方、薬剤アレルギーなどの臨床情報(6情報)が対象です(図表4)。2025年2月にモデル事業を開始しており、2025年12月8日時点で、10地域のモデル事業が実施中となっています(9地域22医療機関で運用開始済み)。

【図表4】電子カルテ情報共有サービスの概要

【図表4】電子カルテ情報共有サービスの概要

出典:資料1(令和7年12月10日 健康・医療・介護情報利活用検討会医療等情報利活用ワーキンググループ(第26回)), https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_66052.html より作成

現状に関し、臨床情報は登録時に複数の課題が生じており、その原因特定と解決が必要であると厚生労働省は説明。今後、登録、閲覧の双方について課題の把握・解消を図り、医療現場の運用フローの検証も必要になると見込んでいます。文書情報については、臨床情報の検証と並行して検証準備ができた地域から実証を行う予定としています。また、モデル事業で明らかとなった課題に対応するため、電子カルテ情報共有サービスおよび対応する電子カルテ、両方のシステムに一部改修を加え、システムの動作確認、現場運用の検証を実施予定。その後、改めて検証可能な地域を選定し検証が行われます。
厚生労働省は、これらの検証で致命的な課題がないことを確認し、3文書6情報のうち臨床現場で支障なく運用が可能な文書・情報から、2026年度の冬ごろを目途に全国での運用開始を目指す方針を示しました。

■診療所標準型電子カルテ「導入版」アプリを開発中
また、厚生労働省はデジタル庁との共同プロジェクトで開発中の無床診療所向け標準型電子カルテについて「導入版」のアプリを開発中であり、2026年度中の完成を目指していることを明らかにしています。紙カルテや現行の電子カルテの業務はそのままに、国の医療DXに対応できるようになる予定です。

※本稿は2026年1月16日時点の情報に基づき作成いたしました。
(制作・編集:株式会社日本経営 2026年1月作成)

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