SAWAI HARMOTECHⓇとはサワイハーモテックとは
SAWAI
HARMOTECHⓇとは、たとえば薬を服用する時により飲み心地がいいと感じられるような技術、薬をより効率的に製造できる技術など、薬に付加価値をプラスし、製剤上のハーモニーを生み出す沢井製薬のオリジナル製剤技術につけられた総称です。
それらの技術は医薬品のみならず、他業界への貢献や、発展性を期待できるもの。他社からも求められるような技術や技術力を通じて、世の中の不可能な「何か」が可能になるような社会への貢献を目指しています。
私たちは新たな技術を確立し、患者さんや医療関係者が薬に求めるニーズとハーモナイズ(調和)させた医薬品を開発し、社会に貢献したいと考えています。
「SAWAI HARMOTECHⓇ」
薬を、より飲みやすく、より扱いやすく、より親しみやすく。
沢井製薬の製剤技術力で「良薬は口に良し」が当たり前になっていく未来を目指して・・・
私たちが開発した技術とは
医薬品の製剤に関連する特許(製剤特許)は、①有効成分を限定する製剤特許と、②有効成分の限定がない製剤特許の大きく2つに分類されます。
たとえば製剤技術の1つ「QALCOREⓇ(カルコア)」は、
原薬及び核粒子を含む混合物に、前記核粒子の粒子径(D50)以下のミスト径(D50)を有する造粒液を噴霧して、造粒することを特徴とする核粒子を含む顆粒の製造方法
[特許第7482645号(海外特許の出願・登録あり)]
に関連する技術であり、その技術は「原薬及び核粒子を含む混合物」に対する製剤特許出願として公開されています。有効成分を限定しておらず、医薬品以外への適用も期待できる新規の技術です。
私たちはこのSAWAI
HARMOTECHⓇを活用し、服用性の向上を目指した製品、医薬品の管理など取り扱いやすさを目指した製品、生産の効率化を目指した製品をお届けできるよう取り組んでいます。
SAWAI HARMOTECHⓇ
核粒子製造技術
QALCOREⓇ
(Quick Adhesion Layering system with Gelatinized Core:カルコア)
苦味マスキングや徐放性などの機能性を持たせる際、原薬を機能性核粒子として加工することがあります。原薬の加工技術として、これまでは市販されている汎用核粒子に薬物含有液をコーティングし、薬物含有核粒子を製造していました。この方法では市販の核粒子のサイズが決まっているため、粒子が大きくなる傾向があります。
また、薬物が均一になるようコーティングするのに時間を要してしまうため、生産効率も悪くなってしまいます。
そこで核粒子として汎用核粒子より直径が小さく、糊性を持つ「ゼラチン様核粒子(部分アルファー化デンプン)」を採用し、薬物と混合して水をスプレーで吹きかけながら攪拌造粒する方法を確立しました※1。
※1 特許第7482645号(海外特許の出願・登録あり)
図1:薬物含有層の製造
ゼラチン様核粒子にスプレーミストを吹きかけながら攪拌造粒します。スプレーミストにより核粒子の表面が糊化して、薬物や添加剤の核粒子への付着が開始されます。さらに攪拌すると、遠心力で表面がならされて球形様粒子が形成され、薬物含有核粒子になります。
図2:エスシタロプラムOD錠20mg「サワイ」の薬物含有粒子
この技術により薬物含有率が高いコーティング粒子を製造することができるため、1錠あたりに必要な粒子数を減らすことができ、錠剤の小型化に繋がります。また、薬物含有核粒子径を小さくできることにより口の中のザラザラ感を感じにくい製剤となるため、服用感の向上も期待した技術です。
他にもコーティング時間が短縮されるため生産効率も上がり、安定供給にも貢献しています。
技術名称 | 代表的な製品名 |
---|---|
QALCOREⓇ (カルコア) |
エスシタロプラムOD錠10mg「サワイ」 エスシタロプラムOD錠20mg「サワイ」 メマンチン塩酸塩OD錠5mg「サワイ」 メマンチン塩酸塩OD錠10mg「サワイ」 メマンチン塩酸塩OD錠20mg「サワイ」 |
(2024年9月末時点)
技術名称 | QALCOREⓇ (カルコア) |
---|---|
代表的な製品名 |
エスシタロプラムOD錠10mg「サワイ」 エスシタロプラムOD錠20mg「サワイ」 メマンチン塩酸塩OD錠5mg「サワイ」 メマンチン塩酸塩OD錠10mg「サワイ」 メマンチン塩酸塩OD錠20mg「サワイ」 |
(2024年9月末時点)
速崩壊錠製造技術
SARAMELⓇ
(Smooth and Rapid Melt:サラメル)
SARAMELⓇは主に4種の添加剤からなる当社のオリジナル添加剤です。
錠剤、特にOD錠は、
① 流通過程における衝撃にも耐えうる錠剤の「高強度」
② 水なしで服用することを想定した少量の水分での「速崩壊性」
③ 一包化調剤を考慮した「高耐湿度(硬度低下、膨潤の抑制)」
などの相反する特性を、バランスよく満たした製剤の開発が課題となります。
「高強度」「速崩壊性」「高耐湿度」は相反する性質のように思われますが、一般的に用いられる添加剤をあらかじめ組み合わせることで、これら特性を高レベルで兼ね備えた添加剤(SARAMELⓇ)を独自に開発しました※2。一般的な添加剤を用いているため、さまざまな製剤に活用して開発することができます。
※2特許:特許第6606287号(海外特許の登録あり)
特許第6651638号(海外特許の登録あり)
SARAMELⓇの崩壊性は患者さんの飲みやすさに、強度と耐湿度は医療関係者の皆さまの管理のしやすさに貢献します。また、当社にとっては添加剤をあらかじめ組み合わせることにより生産効率が高くなり、安定供給に貢献する技術です。
動画︓SARAMELⓇの処方検討時の溶解性・崩壊性の様子
※ピペットで精製水を滴下後、スパチュラで押して崩壊性を確認
(適用した製品により崩壊性が異なる場合があります)
技術名称 | 代表的な製品名 |
---|---|
SARAMELⓇ (サラメル) |
ゾニサミドOD錠25mgTRE「サワイ」 ゾニサミドOD錠50mgTRE「サワイ」 エスシタロプラムOD錠10mg「サワイ」 エスシタロプラムOD錠20mg「サワイ」 ソリフェナシンコハク酸塩OD錠2.5mg「サワイ」 ソリフェナシンコハク酸塩OD錠5mg「サワイ」 ジルムロ配合OD錠LD「サワイ」 ジルムロ配合OD錠HD「サワイ」 シロドシンOD錠2mg「サワイ」 シロドシンOD錠4mg「サワイ」 プレガバリンOD錠25mg「サワイ」 プレガバリンOD錠75mg「サワイ」 プレガバリンOD錠150mg「サワイ」 イミダフェナシンOD錠0.1mg「サワイ」 レパグリニド錠0.25mg「サワイ」 レパグリニド錠0.5mg「サワイ」 |
(2024年9月末時点)
技術名称 | SARAMELⓇ (サラメル) |
---|---|
代表的な製品名 |
ゾニサミドOD錠25mgTRE「サワイ」 ゾニサミドOD錠50mgTRE「サワイ」 エスシタロプラムOD錠10mg「サワイ」 エスシタロプラムOD錠20mg「サワイ」 ソリフェナシンコハク酸塩OD錠2.5mg「サワイ」 ソリフェナシンコハク酸塩OD錠5mg「サワイ」 ジルムロ配合OD錠LD「サワイ」 ジルムロ配合OD錠HD「サワイ」 シロドシンOD錠2mg「サワイ」 シロドシンOD錠4mg「サワイ」 プレガバリンOD錠25mg「サワイ」 プレガバリンOD錠75mg「サワイ」 プレガバリンOD錠150mg「サワイ」 イミダフェナシンOD錠0.1mg「サワイ」 レパグリニド錠0.25mg「サワイ」 レパグリニド錠0.5mg「サワイ」 |
(2024年9月末時点)
フィルムコーティング技術
THRUCOATⓇ
(Through + Coating:スルーコート)
THRUCOATⓇは錠剤が水に濡れると表面がゲル化して滑りやすくなるよう、錠剤表面にコーティングを施す技術です。
近年、難溶解性/低吸収性薬物の増加により1錠あたりの薬物量が錠剤の大半を占める製品が増えてきたため、錠剤を小型化することが難しくなってきました。
また、服用性を考慮し錠剤を小さくすると、1回あたりの服用錠数が増えてしまうため、結果的に患者さんにとっては服薬アドヒアランスが良好とは言い難い状態です。
そこで大きな錠剤もしくは服用錠数が増えても飲みやすくなるように、錠剤に特定のポリマーとゲル化剤でコーティングを施す技術を開発しました※3。
※3特許:特許第7317940号(海外特許の出願・登録あり)
このフィルムコーティング技術(THRUCOATⓇ)では、水での服用時にコーティングが水に濡れると錠剤表面にゲル層が形成され、喉を通過する際の抵抗値を下げる働きをします。特定のポリマーとゲル化剤を一定比率で混ぜ合わせることにより、飲み込んだあとに薬物が放出する仕組みとなっています。
技術の開発において、錠剤を嚥下する(喉を通過する)際に錠剤に加わる圧力を模倣した試験系を利用し、嚥下抵抗力(滑り性)を測定して評価しました(図3)。
図3:最大応力の測定方法
内径9mmのシリコンチューブに2秒間水に浸した錠剤3錠を充填し、
直径5mmの円筒形プランジャーを用いてシリコンチューブの上から押し出した。
その際の最大応力を小型卓上試験機(SHIMADZU EZ-LX,島津製作所)にて測定した。
84錠の錠剤を測定治具に充填し、5mLの水を滴下して素錠、当社の標準的なフィルムコーティング処方の錠剤、THRUCOATⓇの錠剤の最大応力(抵抗値)を測定しました。その結果、THRUCOATⓇを素錠に対し約10%コーティングすることにより、標準的なフィルムコーティング処方の製剤よりも抵抗値が有意に小さいことが確認できました(図4)。
図4︓滑り性の評価
各サンプルの滑り性を図3の方法に従い評価した。(n=3)
サンプル間の差はBonferroni法により評価した。(有意水準1%)
沢井製薬(株) 社内資料より
THRUCOATⓇの技術を適用することで錠剤を嚥下する際の抵抗の軽減を期待し、患者さんの服用のしやすさに貢献します。
技術名称 | 代表的な製品名 |
---|---|
THRUCOATⓇ (スルーコート) |
レベチラセタム粒状錠250mg「サワイ」 レベチラセタム粒状錠500mg「サワイ」 |
(2024年9月末時点)
技術名称 | THRUCOATⓇ (スルーコート) |
---|---|
代表的な製品名 |
レベチラセタム粒状錠250mg「サワイ」 レベチラセタム粒状錠500mg「サワイ」 |
(2024年9月末時点)
その他のSAWAI HARMOTECHⓇ
※官能試験:人間の五感(視覚・聴覚・味覚・嗅覚)を使って品質を判定する方法
※1 ニューラルネットワーク:人間の脳の働きを模倣した機械学習手法
※2 官能試験:人間の五感(視覚・聴覚・触覚・味覚・嗅覚)を使って品質を判定する方法
※3 苦味や酸味がある有効成分の場合、有効成分の濃度が高いほど、苦味や酸味を感じる
※4 一般的なのみ薬は、水または白湯で服用することを前提にしてつくられています。そのほかの食品での服用方法を推奨するものではありません。
技術名称 | 代表的な製品名 |
---|---|
MALCOREⓇ (マルコア) |
(開発中) |
DRACOREⓇ (ドラコア) |
ソリフェナシンコハク酸塩OD錠2.5mg「サワイ」 ソリフェナシンコハク酸塩OD錠5mg「サワイ」 |
SARACOATⓇ (サラコート) |
ジルムロ配合OD錠LD「サワイ」 ジルムロ配合OD錠HD「サワイ」 エスエーワン配合OD錠T20 エスエーワン配合OD錠T25 ナルフラフィン塩酸塩OD錠2.5μg「サワイ」 |
INJIKEEPⓇ (インジキープ) |
トルバプタンOD錠7.5mg「サワイ」 トルバプタンOD錠15mg「サワイ」 レボセチリジン塩酸塩OD錠5mg「サワイ」 フェブキソスタットOD錠10mg「サワイ」 フェブキソスタットOD錠20mg「サワイ」 ナルフラフィン塩酸塩OD錠2.5μg「サワイ」 ゲフィチニブ錠250mg「サワイ」 レベチラセタム錠250mg「サワイ」 レベチラセタム錠500mg「サワイ」 |
ODITEXⓇ (オディテクス) |
(開発中) |
TASTEYEⓇ (テイストアイ) |
ゾニサミドOD錠25mgTRE「サワイ」 ゾニサミドOD錠50mgTRE「サワイ」 |
(2024年9月末時点)
技術名称 | MALCOREⓇ (マルコア) |
---|---|
代表的な製品名 |
(開発中) |
技術名称 | DRACOREⓇ (ドラコア) |
代表的な製品名 |
ソリフェナシンコハク酸塩OD錠2.5mg「サワイ」 ソリフェナシンコハク酸塩OD錠5mg「サワイ」 |
技術名称 | SARACOATⓇ (サラコート) |
代表的な製品名 |
ジルムロ配合OD錠LD「サワイ」 ジルムロ配合OD錠HD「サワイ」 エスエーワン配合OD錠T20 エスエーワン配合OD錠T25 ナルフラフィン塩酸塩OD錠2.5μg「サワイ」 |
技術名称 | INJIKEEPⓇ (インジキープ) |
代表的な製品名 |
トルバプタンOD錠7.5mg「サワイ」 トルバプタンOD錠15mg「サワイ」 レボセチリジン塩酸塩OD錠5mg「サワイ」 フェブキソスタットOD錠10mg「サワイ」 フェブキソスタットOD錠20mg「サワイ」 ナルフラフィン塩酸塩OD錠2.5μg「サワイ」 ゲフィチニブ錠250mg「サワイ」 レベチラセタム錠250mg「サワイ」 レベチラセタム錠500mg「サワイ」 |
技術名称 | ODITEXⓇ (オディテクス) |
代表的な製品名 |
(開発中) |
技術名称 | TASTEYEⓇ (テイストアイ) |
代表的な製品名 |
ゾニサミドOD錠25mgTRE「サワイ」 ゾニサミドOD錠50mgTRE「サワイ」 |
(2024年9月末時点)
(2024年10月更新)