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医療・介護ニュース

介護の文書負担の削減へ専門委員会で協議を開始-自治体ごとに異なる申請書類の様式標準化へ

2019年08月08日 15:55

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 効率的な介護サービスの提供を目指し、厚生労働省は7日、事業所から行政に提出する文書の削減に向けた協議を始めた。自治体ごとに異なる申請書類や重複する書類について標準化・ガイドラインの作成を進める。【吉木ちひろ】

 「介護分野の文書に係る負担軽減に関する専門委員会」で、老健局が検討対象としたのは、指定申請関連文書、報酬請求関連文書(加算取得の要件を確認する文書)、指導監査関連文書の3分野の文書。このほかに、地域によって取り扱いに大きく差があって行政と事業者双方の業務負担が見込まれる案件も整理する。今回の委員からの意見と28日に実施する事業者団体からのヒアリングを通じて優先的な検討テーマを整理し、12月中に社会保障審議会介護保険部会に報告する中間取りまとめを行う。大島一博老健局長は委員会の冒頭、「文書の負担軽減は介護事業者と地方自治体共通の課題。課題解決策をこの場で示していければ」とあいさつした。

 老健局が検討項目案として示したのは、指定申請関連文書や報酬請求関連文書に自治体独自のルールが存在し、提出様式が統一されていないことや、必要な要件を満たすことを確認するための添付資料が定まっていないことへの対応。多くのサービスで取得できる「サービス提供体制強化加算」の取得に必要な介護福祉士や常勤職員の雇用・配置について証明する書式や、複数の加算で共通して提出が必要な「従業者の勤務体制及び勤務形態一覧表」を例示した。  老健局では2018年10月に指定申請関連文書の一部提出項目を削除する省令改正を行うなど、これまでも文書量削減の取り組みを進めてきた。しかし、桝田和平委員(全国老人福祉施設協議会介護保険事業等経営委員会委員長)は、書式や手続きについて削減・簡素化を進めている自治体も存在しているものの、全体としては添付書類の確認や作成の手間が増えて複雑化する事態が起こっていると指摘。遠藤健委員(全国介護付きホーム協会代表理事)も、5月に実地指導の標準化・効率化等の運用指針が老健局から地方自治体に通知されたが、浸透が進んでいない地域があることに触れ、「ルールが守られない場合、申告して指導していただける組織や窓口」の設置を要望した。江澤和彦委員(日本医師会常任理事)は、ケア記録などの「事務方ではなく介護職員の負担を減らす」視点も必要だと述べた。 自治体の立場からは、松田美穂委員(豊島区保健福祉部介護保険課長)が、行政の支援などを検討する上で事業者が「どのような(サービス)運営の中でどのような意見を持っているか、常に把握したい」と、事業者へ直接行政指導をする機会の必要性を説明した。一方、通所介護と総合事業の届け出書類を自治体間の連携で互いに確認する仕組みの構築を検討することで、事業者負担を緩和することを提案した。

出典:医療介護CBニュース