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医療・介護ニュース

医療計画上の記載事項に平時からの感染症研修を-日本病院会・理事会

2020年11月30日 15:20

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 日本病院会は30日に定例記者会見を開き、28日に開催された理事会での議論の内容を公表した。主に新興感染症の拡大時の医療体制について、医療計画上の位置付けや記載事項、医療計画の推進体制について意見を交わした。相澤孝夫会長は、感染症に対応できる医師などの教育体制について、医療計画への明記を求める意見などがあったとした。【吉木ちひろ】

 理事会で、意見が集中したのは医療計画への記載事項について。新型コロナウイルス感染症への対応では、病床を確保しても対応に当たるスタッフが足らずに苦慮する病院が多かったことから、感染症に対応できる医師などのスタッフへの平常時からの育成・研修体制の確立が課題として共有されたという。

 新型コロナウイルス感染拡大期の課題として、救急や呼吸器科、感染症科などに負担が集中する一方で、診療科には「全く協力しない科」の存在についても指摘があったことから、「専門科を持っているにしても、感染症について総合的に診療できる医師を育てていくことが極めて大事」との見方も示した。

 そのほかに、▽保健所の機能の在り方▽病床の確保や個々の医療機関の役割といったガバナンスの発揮について主体や方法の明確化▽介護施設などでクラスターが発生した際の医療機関の役割や入所・入居者の扱いに関するルール▽緊急事態に対応するために医療機関で確保する「予備ベッド」の考え方-などの記載を求める意見があったという。

 また、相澤会長は感染症指定医療機関の在り方についても問題提起があったとした。「どちらかというと重症の方は診れないような、隔離を目的とした施設がこれまで指定されてきた」ことから、新型コロナウイルス感染症の患者についても、人工呼吸器やECMOの使用が必要な状態の患者への対応が必ずしもできていなかったという。そうした状況を踏まえ、「重症の人を診れる病院を感染症指定病院に指定をしていくことが重要」との意見が出た。

出典:医療介護CBニュース