調製時の注意

CDDP: 点滴静注する際、クロールイオン濃度が低い輸液を用いる場合には、活性が低下するので必ず生理食塩液に混和すること。
点滴静注する際、アミノ酸輸液、乳酸ナトリウムを含有する輸液を用いると分解が起こるので避けること。
アルミニウムと反応して沈殿物を形成し、活性が低下するので、使用にあたってアルミニウムを含む医療用器具を用いないこと。
PEM: 溶解及び希釈には日局生理食塩液のみを使用すること。カルシウムを含有する溶液との混合により濁り又は沈殿が確認されているので、乳酸リンゲル液及びリンゲル液等との配合を避けること。溶解後は速やかに投与すること。保存する場合は冷蔵(2~8℃)にて保存し、24時間以内に使用すること。溶解した残液は使用しないこと。
BV: 生理食塩液に添加して約100mLとする。

投与前の注意

CDDP:
  • 投与時には腎毒性を軽減する為に下記の処置を行うこと。
  • 1)投与前、1,000~2,000mLの適当な輸液を4時間以上かけて投与する。
  • 2)投与時、投与量に応じて500~1,000mLの生理食塩液またはブドウ糖-食塩液に混和し、2時間以上かけて点滴静注する。なお、点滴時間が長時間に及ぶ場合には遮光して投与すること。
  • 3)投与終了後、1,000~2,000mLの適当な輸液を4時間以上かけて投与する。
  • 4)投与中は、尿量確保に注意し、必要に応じてマンニトール及びフロセミド等の利尿剤を投与すること。
<監修者コメント>
近年、がん化学療法治療が外来化学療法を中心とした医療にシフトした背景もあり、CDDP投与時の輸液量を減じたshort hydrationの検討がなされるようになり、実地医療においても取り入れられてきている。投与前;500cc(60分)~1,000cc(120分)、投与時;250cc(60分)、投与後;500cc(60分)~1,000cc(120分)の投与量が頻用されている。
PEM: 重篤な副作用の発現を軽減するため、以下のように葉酸及びビタミンB12を投与すること。
(1) 葉酸:初回投与の7日以上前から葉酸として1日1回0.5mgを連日経口投与する。なお、本剤の投与を中止又は終了する場合には、本剤最終投与日から22日目まで可能な限り葉酸を投与する。
(2) ビタミンB12:初回投与の少なくとも7日前に、ビタミンB12として1回1mgを筋肉内投与する。その後、本剤投与期間中及び投与中止後22日目まで9週ごと(3コースごと)に1回投与する。
BV: ブドウ糖溶液を混合した場合、力価の減弱が生じるおそれがあるため、ブドウ糖溶液との混合を避け、本剤とブドウ糖溶液の同じ点滴ラインを用いた同時投与は行わないこと。

投与中/後の注意

CDDP: 悪心・嘔吐、食欲不振等の消化器症状がほとんど全例に起こるので、患者の状態を十分に観察し、適切な処置を行うこと。
急性腎不全等の腎障害、骨髄抑制等の重篤な副作用が起こることがあるので、頻回に臨床検査(腎機能検査、血液検査、肝機能検査等)を行うなど、患者の状態を十分に観察すること。異常が認められた場合には減量、休薬、中止等の適切な処置を行うこと。また、使用が長期間にわたると副作用が強くあらわれ、遷延性に推移することがあるので、投与は慎重に行うこと。なお、フロセミドによる強制利尿を行う場合には腎障害、聴器障害が増強されることがあるので、輸液等による水分補給を十分行うこと。
<監修者コメント>
投与翌日以降に水分摂取を促すことが望ましい。
通常のハイドレーションの例
薬剤 投与経路 用量 投与期間
輸液 静注 2000〜3000mL 24時間
アプレピタント 経口 125mg シスプラチン投与60〜90分前
パロノセトロン
デキサメタゾン
生理食塩液
静注 0.75mg
9.9mg
50mL
15分
シスプラチン
生理食塩液
静注 75mg/m²
500mL
120分
20%マンニトール 静注 200mL 30分
輸液 静注 2000〜3000mL シスプラチン投与翌日、翌々日(各24時間)
BV: 投与時間は初回投与時は90分かけて点滴静注する。初回投与時の忍容性が良好であれば、2回目の投与は60分間で行ってもよい。2回目の投与においても忍容性が良好であれば、それ以降の投与は30分間とすることができる。
【参考文献】 各製品電子添文
※投与方法に関しては一例です。各製品の電子添文をご確認ください。