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医療・介護ニュース

感染症予防・制御の統合調査システム構築し運用を-日本学術会議が提言

2020年09月24日 15:40

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 日本学術会議はこのほど、感染症対策とデジタル変革などの推進に関する提言を公表した。医療システムのデジタル変革については、「政府は感染症の予防・制御のための統合調査システムを作成し、運用すべきである」としている。【新井哉】

 提言では、新型コロナウイルス感染症の流行で、保健所の業務が短期間で増大したため、感染症を診断した医師から送付された届出内容を保健所職員がオンラインシステムにデータを入力して登録する感染症発生動向調査事業(NESID)への登録作業が業務上の負担となったことを指摘。その結果、「市町村や都道府県における上位機関への報告・確認作業など多段階の連絡に起因するデータの紛失や重複入力といった集計のミスが生じた」と指摘している。

 厚生労働省は「保健所、都道府県、国が、それぞれ感染者等の情報を入力・集計し、広域的な情報共有が不十分である」とし、問題を解決するため、新型コロナウイルス感染者等情報把握・管理システム(HER-SYS)を5月に導入したが、政府の専門家会議、感染症の専門家など多くの関係者からの要望を反映させた結果、入力項目がFAXで送付していた発生届の約20項目から250項目以上に増大。「一部の医療機関ではHER-SYSへの入力に対応できず、保健所へのFAX送付と代理入力依頼が続くこととなった」としている。

 こうした状況を取り上げた上で、提言では、「情報収集システムにおいては、現場の医療・保健機関側で人手によるデータ入力・コーディングが必要になる」と指摘。「業務を円滑に実施するには、このような現場での業務量、運用手順の確認、人員の手当等を十分に考慮する必要がある」との見解を示している。

出典:医療介護CBニュース