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医療・介護ニュース

総合事業対象者の弾力化について撤回を要望-認知症の人と家族の会が緊急声明

2020年09月23日 18:10

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 認知症の人と家族の会(家族の会)は18日、田村憲久厚生労働相に宛てて、要介護者であっても市町村の総合事業を受けられるようにする省令改正について撤回を求める声明を提出した。「要介護者の介護保険外しに道を拓く省令改正」として強い懸念を示している。【吉木ちひろ】

 省令改正案の内容は、現在は要支援者や基本チェックリストの該当者に限定されている総合事業サービスを利用者が要介護認定になった場合、市町村が認めれば、総合事業サービスの利用を継続できるというもの。社会保障審議会・介護保険部会が、第8期介護保険事業計画期間に向けてまとめた「介護保険制度の見直しに関する意見」の中で、総合事業の対象者について「介護保険の給付が受けられることを前提としつつ、弾力化を行うことが重要」と明文化していた。省令改正案はこれを踏まえたもので、厚労省は23日までパブリックコメントを募集している。

 これに対して家族の会は、「これは要介護者の保険給付外しの突破口であり、介護保険の受給権侵害につながるもの」などとして強く反発。「利用者・家族の意向よりも行政的な判断が優先される可能性」についても懸念を示している。

 家族の会は、14日に開催された社会保障審議会・介護給付費分科会でも、委員である鎌田松代理事から省令改正について反対意見を表明しており、総合事業の問題点として「事業所を選ぶことはできず、必要な回数を求めることも難しい」「新型コロナウイルスの流行では、代替えサービスがなく、休業しているところもある」などと利用者や家族の意見を紹介していた。

出典:医療介護CBニュース