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医療・介護ニュース

新型コロナ対応で広がる負担感と冬季賞与への不安-8月の医療機関の実態調査結果を公表、医労連

2020年09月01日 20:20

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 日本医療労働組合連合会(医労連)が8月に実施した調査によると、発熱外来の設置や新型コロナウイルスの感染疑いのある患者に対する検査を院内で実施する医療機関の割合が4月時点と比べて増加していた。一方で、職員が割かれた部署が人員不足となり、負担が増加しているという訴えが現場から上がっている。夏季一時金については、妥結のタイミングが新型コロナの影響を受ける前か後かで法人の対応が分かれており、冬季一時金についての不安の声が上がっているという。【吉木ちひろ】

 調査は8月11-27日に実施。全国の公立・公的病院72施設、地場民間医療機関48施設の組合員から回答を得た。そのうち、医療機関における新型コロナウイルス感染症への対応については、4月に実施した調査とその結果を比較している。

 一例として、通常の外来と区別した「発熱外来」の設置について今回公表の調査結果では、「元々設置していた」が18.3%、「コロナ対応で新たに設置した」が43.8%、「通常の外来のみ」が20.3%、「その他」が17.6%だった。4月の調査では、「通常の外来のみ」と回答していた施設の割合が28.3%であり、何らかの対応を取っている医療機関の割合が増加している。

 感染疑いの患者への検査については、今回の調査結果では「院内で対応」が36.1%、「他の医療機関を紹介」が12.2%、「保健所に連絡」が37.6%、「その他」が14.1%だった。4月時点では「院内で対応」と回答していたのは27.0%、「保健所に連絡」は52.6%などの結果が出ていた。

 また、衛生資材については、4月と比べて「充足した」が22.5%、「部分的に充足した」が60.0%、「充足していない」が12.5%で、無回答が5.0%あった。具体的な問題点などを尋ねると、マスクの価格が新型コロナウイルスの感染が広がる前の6-15倍になるなど価格高騰を指摘する意見が上がっており、特にN95 マスクについては依然各地から不足しているとの回答があったという。

 現場の負担感については、コロナ対応を目的とした人事異動によって職員が割かれた部署の人員不足を訴える回答や、ほかの医療機関や宿泊施設への支援が増加していることによって休暇が取りづらくなっているなどの回答が全国を通じてあったという。

 さらに、医労連は今回の調査で、夏季一時金の内容への受け止めや冬季一時金の見通しなどについても意見を求めており、「冬季は一時金を出すのは難しいと病院から言われた」「厳しい交渉になってくる」など冬季一時金への不安の大きさがうかがえる回答が多かったという。

出典:医療介護CBニュース