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医療・介護ニュース

横倉会長が続投に意欲「今の状況で代わるべきでない」-自身の特長をアピール

2020年06月10日 21:55

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 27日に行われる日本医師会の役員改選で、会長の続投を表明している横倉義武氏の陣営が10日、東京都内で記者会見を開いた。横倉氏は、新型コロナウイルス感染症の問題を解決するには会長が代わるべきではないと判断し、出馬を決めたことを明らかにした。また、「この時期だからこそ、継続的に事に当たる責務がある」とし、新たな“チーム横倉”が一丸となって、新型コロナの拡大防止への対応など医療を巡る課題に取り組む考えも示した。【松村秀士】

 横倉氏は会見で、当初は立候補せずに今期での引退を考えていたが、直面している新型コロナ禍による危機は予断を許さない状況で、次のパンデミックに備え、新たな社会の在り方を提言するのが日医の使命だと指摘。それを果たすには、会長職の自身がこの課題に取り組む必要があると確信したと述べた。

 横倉氏はまた、新型コロナが収束しない中、役員改選を回避すべきだと考えていたが、それよりも避ける必要があるのは会長の交代だと説明。「いま会長が代わるのは、国民にも会員にも迷惑をお掛けする」とした。さらに、政治や行政への自身のアプローチの手法について、「しっかりと相手の話を聞いた上で、こちらの主張も通すことをやっている。一方的にわれわれの理念だけを主張することはあり得ない」とアピールした。

■役員推薦候補者を決定

 新たな“チーム横倉”の副会長候補は、今村聡氏(日医副会長)と茂松茂人氏(大阪府医師会会長)、柵木充明氏(愛知県医師会会長)の3人。また、常任理事候補は、羽鳥裕氏と道永麻里氏、釜萢敏氏、小玉弘之氏、松本吉郎氏、城守国斗氏、平川俊夫氏、長島公之氏、江澤和彦氏(いずれも現日医常任理事)、近藤太郎氏(東京都医師会)の10人。

 会見に同席した今村氏は、「日医が他の団体・業界との密接な交流があるのは、横倉会長の人柄であり、力だと思っている」とし、横倉氏の続投が決まれば可能な限りサポートする考えを示した。

■翻意の理由と経緯をサイトで説明

 日医の会長選を巡っては、中川俊男氏(現副会長)が既に立候補している。横倉氏は当初、立候補せず、中川氏を次期会長に推す方針を示していたが、5月末に翻意。6月1日に5期目の出馬を表明した。横倉氏は8日、自身のウェブサイトを更新し、「不出馬を翻意した理由と経緯」と題する文書を投稿した。

 それによると、当初の不出馬の理由は、「この時期選挙をやることにいかがなものかと疑義を持ったことが始まり」「自分が出れば選挙になる。選挙は回避すべきだと思い、身を引くしかないと考えた」と説明。

 しかし、横倉氏の不出馬が各メディアで報じられると、各方面から予想をはるかに上回る慰留の声が横倉氏に寄せられたほか、「時期を考えれば引退は無責任だ」「後継者が継続といっても、組織の長が変わればかならず同じようには継続はしない」などの批判も受けたという。

 こうした多くの声が翻意のきっかけになったことは「事実」だと指摘。選挙を行うことによる日医のダメージと、新型コロナが収束しない中で会長が交代することに伴う日医のダメージ、または医療界全体に及ぼす影響を計量し、選挙を行うという「悪手」を打ってでも、会長の交代は避けるべきだという結論に至ったと述べている。

出典:医療介護CBニュース