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医療・介護ニュース

外国人患者を受け入れる医療機関に支援を-日医、外国人医療対策委員会の報告書を公表

2020年03月05日 16:40

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 日本医師会(日医)は4日の定例記者会見で、「外国人医療対策委員会」がまとめた報告書を公表した。厚生労働省と観光庁が取りまとめた外国人患者を受け入れる医療機関のリストについて、問題点を指摘。その上で、診療に協力する医療機関への支援などを求めている。【吉木ちひろ】

 報告書は、日医の横倉義武会長から「地域医療における外国人医療提供体制のあり方について」諮問を受け、同委員会が答申したもの。外国人に対する医療提供体制について、▽拠点的医療機関▽厚生労働省の外国人患者受け入れ整備事業▽救急医療における外国人医療通訳-の3点について現状や課題をまとめた。その上で、外国人への医療提供に必要な個別の機能について行政への要望や医療機関への助言を整理している。

 拠点的医療機関は、2019年3月に厚労省と観光庁が連名で、都道府県に対して選出を求めたもの。「外国人患者で入院を要する救急患者に対応可能な医療機関」(都道府県単位で選定)と「外国人患者を受け入れ可能な医療機関」(2次医療圏単位で選定、診療所・歯科診療所も含む)の選定を依頼していた。

 報告書では選定方法が各都道府県に委ねられていたことから、特に手上げ方式を採用した自治体で「医療機能や実績から拠点的医療機関として選定されるべき医療機関が、選定をひかえるケースがあった」と指摘。拠点的医療機関に選定されることがデメリットとならないよう、経済的な支援を含めた積極的な施策を求めている。

 外国人への医療提供体制を整備していくための具体的な機能としては、都道府県が設置する「ワンストップ窓口」などを取り上げた。

 19年12月の厚労省調査によると、すでにワンストップ窓口を設置しているか年度内の設置を予定していたのは12都道府県だった。報告書では、窓口の設置が進まない原因として具体的な業務内容が予測できないことなどが考えられると指摘した。このため、都道府県に求められる業務を、▽医療機関が個々の外国人のケースについて相談できること▽医療機関に代わり、「外国人に対する対応」をしてくれること▽外国人に外国語で対応できる医療機関の情報を提供してくれること-などに類型化している。

出典:医療介護CBニュース