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医療・介護ニュース

複数の精神疾患に共通の大脳白質異常を発見-NCNP精神保健研究所の橋本部長ら

2019年12月02日 14:20

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 国立精神・神経医療研究センター(NCNP)は11月29日、4大精神疾患(統合失調症、双極性障害、自閉スペクトラム症、うつ病)におけるMRI拡散強調画像を用いた大脳白質構造についての大規模解析を実施し、統合失調症と双極性障害における大脳白質領域の異常は似通った病態生理学的特徴を持ち、自閉スペクトラム症とうつ病における異常は軽微で健常者に近い生物学的特徴を有していることが分かったと発表した。【新井哉】

 NCNP精神保健研究所精神疾患病態研究部の橋本亮太部長らの研究グループは、認知ゲノム共同研究機構(COCORO)による多施設共同研究体制の下で、全国の12研究機関から統合失調症(696人)、双極性障害(211人)、自閉スペクトラム症(126人)、うつ病(大うつ病性障害、398人)、健常者(1506人)の計2937人のMRI拡散強調画像データを収集し、大脳白質微小構造についての大規模解析を実施した。

 統合失調症では、健常者と比べて、鉤状束、脳梁体、帯状束、脳弓のFA(脳白質の微小構造の拡散強調画像の指標)の低下や、MD(同)、AD(同)、RD(同)の増加が認められた。

 精神疾患に共通・特異的な異常について検討したところ、健常者と比べて、統合失調症、双極性障害、自閉スペクトラム症では大脳白質領域の1つである脳梁体に共通してFAの低下もしくはMD、RDの増加が見られ、特に統合失調症と双極性障害では、脳弓や帯状束のような大脳辺縁系の白質領域に共通してFAの低下もしくはMD、AD、RDの増加が見られた。

 健常者と比べた場合、統合失調症にだけ、鉤状束のような大脳新皮質同士をつなぐ大脳白質領域にMD、AD、RDの増加が見られることが判明した。その一方で、健常者とうつ病では大脳白質領域に微小構造の違いは見られなかった。疾患同士での直接比較では、統合失調症と双極性障害との間に大脳白質領域の微小構造の違いは見られなかった。

 統合失調症・双極性障害ではうつ病よりも大脳辺縁系領域でMDとRDが増加しており、これらは統合失調症・双極性障害と健常者との間の違いと同じようなパターンが見られたという。この研究の成果は「Molecular Psychiatry」のオンライン版に掲載された。

出典:医療介護CBニュース