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医療・介護ニュース

コロナ禍理由の働き方改革先送りを問題視、日医-取り組みの意義再認識を、医療機関に呼び掛け

2021年02月18日 15:30

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 日本医師会は17日の定例記者会見で、医師の働き方改革の推進について見解を表明した。2024年度に医師の時間外労働の罰則付き上限規制が始まることに対し、新型コロナへの対応に追われる医療機関に強い懸念が広がっていることを取り上げた。担当の松本吉郎常任理事は、拙速に規制を推進すること自体には反対する姿勢を示した一方で、「コロナ禍という理由で(改革を)先延ばしにすることを、現場で働く勤務医や医療従事者が果たして納得されるのか」と医療機関に対しても問題提起した。【吉木ちひろ】

 松本常任理事は、「新型コロナウイルス感染症が収束してから医師の働き方(改革)の取り組みを進めるべき」という要望が、多くの医療機関から上がっていることについて、罰則付きの規制を「スケジュールありきで拙速に進めて、地域医療にひずみを生じることだけは避けなくてはならない」とする日医の立場を示した。一方で、「コロナ禍の今だからこそ、働き方改革を進めてほしいという声も多くある」として、「新制度施行の先延ばしについては、新型コロナウイルス感染症の影響を注視しつつ、慎重な議論が重要」と指摘した。

 また、労働時間の上限規制が、地域医療に及ぼす影響を危惧する医療機関についても、一定の理解を示しつつ、「医師の働き方改革は、地域医療を守っていくために取り組まなければならない基本的な事項を、医療法によって規定したものであるという点を医療機関の関係者の方々にも再認識していただく必要がある」として、医師の労働時間の把握など、「少しずつできることから改善に取り組むというプロセス自体が極めて重要」だと呼び掛けた。

 医師の働き方改革を巡る意見として、「宿日直の許可については、全国統一基準を作るべきという声」にも触れた。松本常任理事は、宿日直中の働き方は、同一診療科であるなど一部の条件をそろえても、医療機関や地域の間の差が大きいことを指摘。「統一基準を作ったとしても現実的な内容になるかは疑問」として、複雑・厳格な制度が医療現場の運用の妨げになることに懸念を示した。ただし、労働基準監督署間で異なっている必要書類等の統一は必要として、既に厚生労働省に対して対応を求めているという。

出典:医療介護CBニュース