閉じる

医療・介護ニュース

緊急事態宣言、「高く評価」-日医・中川会長が見解を表明

2021年01月06日 19:30

印刷

 日本医師会(日医)の中川俊男会長は、政府が東京、神奈川、千葉、埼玉を対象に緊急事態宣言を再発令する方針を示したことを受け、菅義偉首相の決断を「高く評価する」と表明した。日医として、直ちに新型コロナウイルス感染症の患者を受け入れられる即応病床の確保が困難な状況にあり、新規感染者の減少につながる政策の実施を訴えてきた。新型コロナへの対応と通常診療の両立が困難になっている地域について「現実はすでに医療崩壊」と表現し、改めて危機感の醸成を呼び掛けた。【吉木ちひろ】

 菅首相に対しては1月に入って、「何としても感染者数の減少を図ることが最優先される」などと直接説明してきたという。6日の定例記者会見で中川会長は、緊急事態宣言の再発令についてこうした進言を「理解いただいた」ものとの認識を示した。

 宣言発令に対する期待としては、「国民の間に未知のウイルス感染症に対する連帯感を持った危機感、緊張感を取り戻さなければならない」と述べ、これが事態の収束につながると強調。宣言下は国会議員が夜の会食を全て自粛することなどを含め、国民への啓発に重点を置くよう国に求めた。対象が1都3県に限定されたことについては、「今後の感染拡大の状況によっては、全国的な発令も考えなければならない」との見方を示した。

 また、中川会長は「医療崩壊の危機などないのではないかとの声」にも反論した。これは、新型コロナウイルス感染症の患者に直接対応しているのは一部の公的医療機関のみであるという見方に対するもの。「全ての医療機関で日常診療と同時に新型コロナを診ることはさらなる感染拡大につながり、混乱を招く」とし、通常の医療提供体制の維持と新型コロナウイルス感染症への対応を各地域で両立させるには、医療機関間の役割分担や連携が必要だと理解を求めた。

 さらにワクチンについて、流通方法や保存方法などを含む接種体制の構築を「詳細に検討しなければならない」と指摘。日医内でも「接種体制検討委員会」を立ち上げ、都道府県医師会が中心になって、地域の実情に合わせた指針や体制づくりをしていくための骨格づくりに着手したという。

出典:医療介護CBニュース