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医療・介護ニュース

2割負担なら年間3.4万円増、後期高齢者医療費-課税所得145万円未満で、厚労省推計

2020年11月12日 21:10

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 厚生労働省は12日、後期高齢者(75歳以上)の医療費の自己負担の割合を現在の1割から2割へ引き上げた場合、課税所得が145万円未満の後期高齢者の一人当たりの自己負担額は平均で年間11.5万円となり、従来と比べて3.4万円増えるとの推計結果を、社会保障審議会・医療保険部会に示した。委員からは、負担割合の引き上げの議論は慎重にすべきだとの指摘があった一方、原則2割負担を求める意見があり、この日も決着しなかった。同部会では、引き続きこのテーマについて議論し、年内に結論を出す。【松村秀士】

 厚労省によると、2019年の国民生活基礎調査を基にした集計では、年齢階層別の平均収入は、「50-54歳」が381.6万円で、それをピークに年齢層が高くなるにつれて低下。75歳以上の個人の収入額を階層別で見ると、55%の人が150万円未満の階層に分布している。

 また、外来診療を受けた人のうち、75歳以上が対象となる後期高齢者医療制度の加入者の45.7%が毎月診療を受けている一方、受診月数が2カ月以下の人の割合は6.6%(組合健保加入者は35.2%)。

 現役並みの所得者(課税所得145万円以上)を除く後期高齢者の年間の医療費の分布では、「20万円超-40万円以下」が25%超で最も多かった。

■負担額の割合、「2万円超-3万円以下」が最多

 同省はまた、課税所得が145万円未満で、かつ「世帯全員が住民税非課税」ではない一般区分に該当する後期高齢者の医療費の自己負担額の分布状況を提示。

 それによると、負担額の割合が最も高かったのが、「2万円超-3万円以下」だった。仮に一般区分の後期高齢者の自己負担を2割とした場合、年間の自己負担額は平均で推計11.5万円となり、従来の平均8.1万円から3.4万円増えるとの試算結果を示した。

■「多くても2割に」の意見も

 議論では、保険者側の安藤伸樹委員(全国健康保険協会理事長)が、「現役世代の負担の軽減につながるように、後期高齢者の負担の在り方については低所得者に十分配慮しつつ、原則2割とする方向で見直していただきたい」と述べた。

 また、兼子久委員(全国老人クラブ連合会理事)は、介護保険など他の制度の基準と合わせた上で、「多くても2割にとどめてほしい」と要望。樋口恵子委員(NPO法人高齢社会をよくする女性の会理事長)も、高齢者の生活状況や収入などの実態に即し、負担拡大の範囲を可能な限り絞るよう求めた。

 一方、医療関係側の委員は、負担割合の引き上げ自体に慎重な姿勢を示した。松原謙二・日本医師会副会長は、「75歳以上の人たちの中には、貯金がないに近い人たちもずいぶんいる。平均値で考えるべきではない」と指摘。池端幸彦・日本慢性期医療協会副会長も、「負担が2倍になると受診抑制につながる可能性が高い」と懸念を示した。

出典:医療介護CBニュース