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薬局訪問記

在宅医療専門薬局として
地域に根ざす ― 薬剤師の積極的な関与により変わる在宅医療 ―

メディスンショップ蘇我薬局(千葉県千葉市)

運営・はな株式会社  在宅医療支援専門保険薬局として、千葉市の施設(グループホーム、老人ホーム)と患家を中心に事業展開している。

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介護現場での服薬管理ニーズを感じ在宅医療専門薬局開設を志す

 JR蘇我駅から徒歩15分ほどの静かな住宅街にあるメディスンショップ蘇我薬局は、在宅医療を支援する専門の保険薬局として2008年10月に開設された。現在は主に同薬局がテナントとして入居する有料老人ホームのセントケアビレッジ蘇我をはじめ、千葉市のグループホームや老人ホームなど介護療養施設や在宅患者の服薬管理を中心とした在宅医療業務を行っている。
 同薬局は代表者である佐伯剛氏と管理薬剤師を務める雜賀匡史(さいがまさし)氏の2人で運営されている。2人の積極的で熱心な活動により、開局からわずか3年で担当する施設は6ヶ所に広がり、最近では患家対応も増えるなど地域で着実に存在感を増している。
 製薬会社で医薬品開発に携わってきた佐伯氏が在宅医療専門薬局を立ち上げたのは、介護関連製品の開発で介護の現場を知ったことがきっかけになっている。介護現場での服薬管理のニーズを強く感じた佐伯氏は、メディスンショップ・ジャパンから話を受けて薬局を開設した。一方の雜賀氏は東邦大学大学院を修了後に医療先進国で薬剤師の果たす役割を学びたいとカナダへ留学。カナダの薬剤師が調剤や服薬管理だけでなく、血糖値測定や検査値データを元にした患者への健康指導など、薬剤師が患者と直接関わり合える環境にあることに感銘を受け、日本でも実践したいと強い想いを持つようになった。そのような中で千葉市内にカナダでの研修先であったメディスンショップの薬局があることを知り訪問したところ、その経営者は東邦大学在学時に客員教授を務めていた佐伯氏であった。

薬剤師は外へ! 医療関係者との連携を通じ薬剤師職能は拡がる

 薬局で調剤業務を中心に活動してきた薬剤師にとって、在宅医療は未知の領域だ。業務手順も異なれば、患者・家族への接し方も異なる。薬剤師が行う居宅療養管理指導は、医師の指示書に基づき、患者・家族に対し居宅療養管理指導のサービス提供について十分な説明を行い、患者・家族が納得した上で契約を結ぶ。その上で医師から居宅指導の指示をもらい初めて訪問が可能となる。訪問にあたっては患者一人一人について訪問計画書を作成し、医師からの処方せんに基づき薬を準備、施設・入居者に薬を届け、訪問服薬指導を行う。
 在宅医療への関わりは、司令塔としての役割を担うケアマネージャーをはじめ、医師、看護師など複数の医療関係者との連携が不可欠であり、薬剤師が在宅医療に関わるためには、医療関係者から信頼を得て必要とされるようになることが条件となる。薬についての専門的知識に加え、薬剤師自身の献身的な対応が求められ、「薬局でやる服薬指導を施設や患家でやるという程度の意識では対応できない。」(佐伯氏)という。長時間を要する上、神経や体力を使うことも多く、時に効率は二の次になる。マニュアルがありながら規定通りでは務まらないのも在宅医療業務の難しさだ。調剤報酬の点数で評価される部分だけをやっているのでは患者に評価されない。

 2人はこうした難しい在宅医療業務に大いにやりがいを感じており、薬の専門家として薬剤師こそ関わるべき業務だと強く認識している。薬剤師の関与により、適切な服薬管理が可能となり、患者・家族との対話を通じ、患者の容態安定に柔軟に対応できる。「薬剤師が能動的に関わっていかないと前に進まない。薬剤師がやれるということを積極的にアピールしている。」と佐伯氏は強調する。

信頼関係を築き、患者にとって真のかかりつけ薬剤師となる

 メディスンショップ蘇我薬局は通常の門前薬局のように診察を終えた患者がすぐに処方せんを持って訪れるわけではない。処方せんを持っている・いないにかかわらず、同薬局には訪れる人が絶えず、いつも賑やかな会話と笑い声が響いている。施設入居者をはじめ、施設の看護師やスタッフ、近隣の住民や、通学途中の小学生までもが気軽に立ち寄り、話を交わしていく。直接薬局業務とは無関係なことも多い。しかし訪れる一人一人の顔と名前をきちんと把握し親しみを込めて呼びかける2人はまさに『街の薬剤師さん』として慕われている。

 こうした普段からのつきあいが信頼関係づくりに繋がっている。訪問の際には一人一人と十分な時間をかけて話をするよう心掛けている。そして、今ではその患者のほとんどが自分の係っている医療機関の薬の管理を彼らに一任しているという。検査データも併せて提供してもらい、患者の服薬状況や状態把握に活かしている。「検査データからは患者さんの健康状態や暮らしぶり、家族構成が分かる。薬の服薬状況、独居か家族と一緒かなど。それによって服薬指導も変わってくる。」という。
 ジェネリック医薬品についても、患者にとってプラスとなる切り替えには積極的に対応している。最近では施設の介護スタッフから酸化マグネシウムが入れ歯の中に残って困っている入居者の相談を受け、同薬局で数種類を集め検証し、ジェネリック医薬品に変更したことで問題が解決したケースがあったという。服用しやすさや識別性などについても情報収集し有意義な切り替えに活かしている。もちろん患者にとって経済的メリットも大きい。同薬局での備蓄品目数はおよそ1000品目、ジェネリック医薬品調剤率は37%に上る。
 在宅訪医療務の合間を縫って、様々な活動や勉強会への参加も積極的に行っている。今年加入した千葉市薬剤師会では在宅介護委員と薬学実務研修委員を務めており、認知症関連の勉強会や、介護福祉に関する勉強会などにも参加している。また製薬メーカーの協力を得て福祉施設での糖尿病や認知症、また、薬に関する様々な勉強会なども企画し好評を得ているという。貪欲に学び吸収し、自ら参加の機会を作ることで医療関係者との連携を深め、薬剤師の在宅医療への関与をさらに拡げている。

(2011年11月)

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