千葉県市川市の行徳地区を中心にドラッグストア、保険薬局、漢方鍼灸治療院などを運営する株式会社アオノは、昭和40年の創業以来、行徳地区を中心とした店舗展開を行い、「行徳地区といえばアオノ薬局。」という、地域を代表する薬局に成長した。創業者で株式会社アオノの会長である青野博氏は、現在、全国医薬品小売商業組合連合会の会長も務めており、長年の薬事功労の功績を認められ今春の叙勲で旭日双光章を授与された。
地域に医療機関が少なかった時代に薬局を保健所代わりに開き、小児科医、保健婦の協力を得て育児相談会を行ったのが発祥だというアオノ薬局。青野氏は開局以来一貫して、地域に暮らす人々が行徳地区で安心して医療を受けられる環境を作りたいと、開業医と連携し患者との関係を築き、薬局が地域医療の情報発信基地となる街のヘルス・ナビ・ステーションを目指してきた。
そのアオノグループが目指す地域医療の理念を形にしたのが、東京メトロ東西線行徳駅改札口前にあるプラザアオノ薬局である。平成10年12月にオープンした同薬局は、休日は元日のみ。調剤業務をベースに、一般薬や化粧品、漢方薬の販売やカウンセリングを行う他、居宅介護支援事業所として在宅患者支援事業の拠点の役割も担う。
同薬局が応需する処方せんは駅周辺のクリニックからのものが大半を占めるが、駅に隣接するという地の利の良さから、処方せん発行元の医療機関は次第に広域化しつつある。行徳駅を利用する地域住民がプラザアオノ薬局をかかりつけ薬局にしつつあるということがうかがえる。患者や住民の健康状態と暮らしに寄り添い、「薬局で出来ることはすべて対応可能にする。」と尽力するのがプラザアオノ薬局の姿である。
プラザアオノ薬局では計10名の薬剤師が対応し、応需する処方せんは月3500枚にのぼる。処方せん発行元の医療機関が近隣から広域に拡がっていることから、備蓄品目数は自ずと多くなる。現在の在庫品目数、約1700品目のうち、ジェネリック医薬品は250品目にのぼる。患者にメリットのあるジェネリック医薬品への代替調剤にも積極的に対応しており、処方せん発行元の医療機関の医師からは患者希望がジェネリック医薬品への変更を希望する場合は、薬局で患者にあった薬剤を勧めてもらいたいと信任を得ている。
プラザアオノ薬局の店長であり医薬品備蓄管理を担当する岩佐和紀氏は、多くの種類が存在するジェネリック医薬品選定の条件として、「まず信頼のおけるメーカーであることが絶対条件。震災の関係もあり安定供給面での不安もありますので、大手卸との流通取引を持ち、生産や供給量が多く、安定して入手可能なメーカーを選定したい。」と語る。日常からメーカーや卸担当者との連絡を密にし、薬局への医薬品安定供給が確実に行われるよう配慮を怠らない。
同薬局ではこれまでジェネリック医薬品の使用促進のための対応を図っており、患者への説明も丁寧に行ってきた。管理薬剤師である田中基陽氏は、「患者さんの猜疑心が消えるよう適切な説明を心掛けています。」と話す。

制度の成り立ちなども薬剤師が十分理解していなければ患者への説明に不備が生じるため、薬局内の研修も十分に行っている。「金額的な面で疑問を持つ患者さんにも、経緯を含めきちんと説明していますので、納得してもらえます。」と語る。

アオノグループが積極的に取り組んでいるのが在宅医療分野である。居宅介護支援事業所の指定を受け、前管理薬剤師の久田よし江氏は2年前にケアマネージャーの資格を取得し、現在30名ほどの在宅患者への支援を行っている。
地域医療への貢献を目指すアオノグループとして、在宅医療支援は今後強化が求められる分野だ。薬局を利用する住民や患者が在宅医療支援の利用者に繋がるケースは多い。薬局としてトータルで支援でき、薬剤師の資格を持つケアマネージャーは、介護と医療双方を繋ぐ存在となる上、特に薬に対する配慮ができる存在として期待される。
ただ、実際に手がけ始めた在宅医療支援は、薬局に居たままでは決して分からなかった世界だという。訪問服薬指導の重要性について認識している医師は多いと感じる一方で、薬剤師の役割がまだ定着されておらず、患者にも他職種にも薬剤師の仕事が理解されていないという現実も垣間見える。しかし、医療ニーズの高い在宅患者にとって、薬の適切な服用管理が行える薬剤師の資格を持つケアマネージャーの存在は心強い。
さらに、薬剤師が行う居宅療養管理指導を利用することで、介護保険の有効活用が図れる。「今はヘルパーさんが薬の介助や薬局まで薬を取りに来ることが多いのですが、それを薬局に任せて、その余った時間をヘルパーさん本来の仕事に使ってもらえる。実際に自宅に伺ってみると、きちんと薬を服薬できていない患者さんが多く、褥瘡や認知症など薬剤師が関わることで改善が期待できる患者さんも少なくない。」薬剤師への理解が進まない現状があるものの、薬剤師が在宅医療に関わる意義は大いにあると感じ、手探りながら地道な活動を進めている。
在宅医療は、医療保険・介護保険双方に関わる上、時間と手間が掛かる事業だけに会社の理解が不可欠だ。久田氏も、在宅医療・介護支援の調整役であるケアマネージャーとして、利用者にとって最も相応しいサービスを検討する立場にある。「市町村などのボランティアのサービスが利用できると分かっているのに、自らの加算のためにわざわざ介護保険を使うことはできない。会社としての報酬はゼロになるが、それでも会社として全面的な支援体制があることが心強い。」と言う。「薬剤師がもっと地域医療連携の輪の中に入り、在宅医療に薬剤師が不可欠な存在であることを定着させていかなくてはならない。」と強調する。
プラザアオノ薬局では、会社として今後も資格取得を含め在宅医療対応を強化していく方針だ。地域に暮らす人々が安心して医療を受けられる環境を作りたいという思いは、地域の在宅医療を担うことで結実しつつある。
(2011年11月)